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追加のバズーカーを否定した日銀の前理事

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日本銀行前理事の門間一夫氏は、11日にメディアのインタビューに答え、日銀の追加緩和の手段について「マイナス金利」拡大も量の拡大も慎重な判断が必要で、もはや「バズーカ砲第3弾」の余地はないとの見方を示し、かなりの波紋が広がっています。
量は次第に限界に近づいており、そう遠くない時期に長期国債の買い入れペースを落としていくことが常識的な将来の見通しだと語っており、巷で盛り上がる原資なしで実行しようとしている「ヘリコプターマネー」の見方とはまったく逆行した見解を持ち出しているところが大きく注目されます。
Photo Bloomberg

実際のところ既存手法は限界に近づいている

門間氏は日銀のチーフエコノミスト的存在である調査統計局長をはじめ、金融政策担当理事、国際担当理事を歴任。この5月末に退任し、みずほ総合研究所のエグゼグティブエコノミストに就任したもので、直近の日銀の政策にもっとも精通した存在といえます。

その同氏から、もはや「バズーカ3」は難しいという発言がでたことは、非常に注目されるものとなっています。
冷静に考えて見ますと、1100兆円ほど発行した「国債」のうち、既に300兆円を日銀が買い上げ、ほとんど市場では金利がつかない状態や、一部マイナス状態に陥っていますが、日銀の国債買い上げ期待でマイナスでも購入する不思議な顧客が存在するなど、そもそもの健全な債券市場は完全に崩壊した状態が続いています。
恐らく秋口に発表される大型の経済対策の原資としても「国債」を発行して、日銀がすかさず購入するというプロセスを導入することになるのでしょうが、このスキームは限界に近づいているのです。
7月29日の「日銀政策決定会合」で「国債」買い入れ額を80兆円から100兆円に増額しても、ほとんど市場に対するインパクトはないものと思われます。
また株式市場が期待する「ETF」の買い入れ増額ですが、こちらの全市場の50%近くを既に日銀が買い入れてしまっているという、実に不健全なマーケットが形成されておりこのままでは日本の多くの企業の筆頭株主が日銀になりかねない異常な状況が近づいています。
また1月29日に実施して市場から大きく反発を受けることになった「マイナス金利」の深堀についてもまだその効果ははっきりしていないと日銀では見ているようですが、欧州「ECB」が過去4回にわたり、「マイナス金利」を実施した際には金融株は驚くほど売られることになりました。
実際に金融機関の利益もかなり落ち込む状態になっており、少なくとも金融機関へのネガティブインパクトは間違いなく発生しているといえます。
金融市場では「マイナス金利」幅の拡大は最悪の悪夢であるとしており、これを押し切って日銀が政策に織り込むことになるのかどうかもかなり注目されるところです。

海外からの期待で上げた相場はまたしても事実で売られる可能性大

参議院選挙が終わってから、あらたな政策対応を出してくるという安倍内閣は、選挙よりもこの先の改憲に対する批判をかわすために、表面上は経済対策最優先というイメージを醸成したいのでしょうが、日銀はどこまでこの政権と握れているのかがまた大きな問題になりそうです。

7月末という、ほとんど材料の無い中で、日銀だけがまたしても「先だし方式」で緩和を打ち出すことができるのか?また打ち出したとしても、市場の期待に応えられるものになるのかが大きなポイントになりそうです。
穿った見方をすれば「日銀の政策決定会合」まで買いあがっておいて、発表の直前にすべてを反対売買して売り逃げするいうファンドが出てもおかしくは無い状態で、いずれにしても市場に大きくサプライズを与えるような次なる「黒田バズーカ」が登場するとは思えない状況です。
このことは誰であろう「黒田総裁」がもっともよく認識されていることだと思いますが、対応を間違えればこの「夏の暴落売り」は前回以上のものになる可能性もあり、我々個人投資家にとってはちょっとしたボーナスを提供される大チャンスになるかもしれません。
(この記事を書いた人:今市太郎
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