「ボリンジャーバンド」は1980年代に「ジョン・ボリンジャー氏」が開発したもので、移動平均線に変動率の概念を組み入れて表した独特の表示方法を持ったバンドです。
元々は株式の世界で使われていましたが、今ではすっかりFXでの利用も定着するようになっています。
このボリンジャーバンドは相場の変動率を統計学上の「標準偏差」を使うことで表したもので、標準偏差は現在の価格が平均線からどの程度離れているのかを示すものとなっているのです。
もともと移動平均線をベースにしていますので、このセンターラインにもどる習性があり、そのかけ離れ具合から「プラスマイナス3σ」までラインを設定しているところが大きな特徴となっています。
ボリンジャーバンドの仕組みについて
ボリンジャーバンドは、移動平均線をベースにしながら同一期間の標準偏差を求め、これを移動平均線の上下にバンドとしてプロットした手法であり、相場の「ボラティリティー」に応じて表示されるバンド幅も広がったり狭まったりしながら推移するという特徴があります。
したがって視覚的に理解しやすいのも大きな特徴となっており、標準偏差が小さい場合には価格変動も小さく収まり、逆に大きくなる時は、価格が大きく変動する形となりバンド幅も急激に広がりを見せることになります。
ボリンジャーバンドは標準的にはアッパーバンド2、アッパーバンド、ミッドバンド、ローワーバンド、ローワーバンド2といった5本の線の形で表されますが、ものによっては下図のようにアッパーアンド3やローワーバンド3まで表示されることになります。
上下の3σまで到達すると、トレンドが変わって上離れもしくは下離れしないかぎりは、ほとんど中心線に向けて戻してくることになります。こうしたことから「ボリンジャーバンド」は逆張りでの売買へと利用するケースが非常に増えています。
2σまで価格が到達した時でも、中心線からその中に収まる確率は「95%」にまで高まりますので、逆張りで成功する可能性が極めて高くなるということになります。
但し、開発者のジョンボリンジャー氏は、必ずしも逆張り用のツールとしてこのボリンジャーバンドを開発したわけではないそうで、この3σの枠に収まらずにバンドウォークしながら大きく外側で動いていくタイミングを見計らうことを、かなり意識して作られているということです。
確かにボリンジャーバンドを使っていますと、元に戻ると思われるポジションも見つけることができますが、大きく既存の相場を離れて上昇や下降するタイミングを見つけることもできるのです。
バンド幅について
ボリンジャーバンドの大きな特徴としてそのバンド幅の動きがあります。トレンドがなく膠着した相場状況ではバンド幅は極めて狭くなり、動きも鈍ることになりますが、上昇や下落のトレンドがはっきりしてくるとバンド幅は急激に拡大することになります。
ただし、レンジ相場で大きくトレンドを形成し、相場が上昇や下落に転じない場合には、殆どがこのバンドの中に納まることになるのです。
その確率は、±1σの範囲内に収まる確率が「68.3%程度」で、±2σの範囲内に収まる確率は「95.4%程度」となり、±3σの範囲内に収まる確率は実に「99.7%程度」となります。
したがって、レンジ相場の時には、このバンドの位置を見ながら逆張りのトレードに使う投資家が非常に多くなっている状況にあるのです。
スクイーズとバンドウォークとは?
ボリンジャーバンドには数多くの特徴がありますが、その中でも利用者が利用に当たってはっきり意識しておきたいのが「スクィーズ」という状態と「バンドウォーク」という二つの状況です。
スクィーズ
まず「スクィーズ」という状況は、完全に「ボラティリティー」不足でボリンジャーバンドが細く収縮した状態に陥ることを言います。
これはレンジ相場に実によく見られる状況ですが、ここでエネルギーをためて次のステージに向けて大きく動き出す前兆となります。
ただし、これが動き出すまでの時間軸については相場次第のところがあり、直ぐに動き出すケースもあれば、想像以上にこう着状態が続くこともあるのです。
バンドウォーク
そして注目されるのが「バンドウォーク」です。これは明確なトレンドが相場に発生し始めると見られる動きです。
もともと相場が大きく動き出せばバンドが広がり、しかもバンド自体は相場について行く形になりますので、1σや2σのライン上を沿うようにローソク足が上昇していくのが上昇過程で見られることになります。逆に下降局面では、-1σや-2σに沿ってローソク足が下降していくこととなるわけです。
これは相場転換の大きなサインであり、一気に相場状況が変わるきっかけにもなりますので、こうした兆候を見逃さないようにできれば早い段階で相場にポジションをもって参入することが可能になります。
ジョン・ボリンジャー氏もこうした動きを逃さないために開発したのがボリンジャーバンドとのことですから、このタイミングを掴むためには最適な指標ツールであるということが言えます。