週明け大きく下落をしたドル円ですが、結局NYタイムにはまた大きく戻して112.790円まで戻りを試すこととなり、なんとか112円台を回復するという根強い上昇感をもって推移しています。
結果的にいいますと東京タイムの午前11時半すぎにつけた111.357円が最大の押し目であり、下値ではかなり買い意欲の強い相場展開が続いていることがわかります。
やはりNYタイムになるとはっきりと米系ファンドと思われる「アルゴリズム」がドル円をしきりに買い上げる動きをとっており、東京タイムのはじまりに向けて、必ずそれなりのレベルまで上伸している点がなんとも気になる動きといえます。
日足、週足ともにトレンド継続中
ドル円を日足の21日ボリンジャーバンドで見ますと、ぎりぎりプラス1σのラインで下げ止まっており、依然として買いトレンドが出ていることがわかります。
また、週足で見てもやっと上昇がはじまってから4週目という若い相場状態であり、週足、日足ともにしっかりとしたトレンドが出ている以上、まだ戻り売りには早い状況が続いていることがわかります。
月足の20ヶ月移動平均線は依然として114.300円レベルを走っていますが、週明けからの下落で、果たして30日のNYタイム終了時にこのラインを超えて11月の取引を終了できるかどうかが注目点となります。これを超えられなければ依然としてドル円は下方向の中の戻りを試しているに過ぎない状況となりますが、明確に抜けて終わった場合には長期のトレンド自体が上向きに転換することから、そうなるともはや戻り売りではなく押し目買いを専門に仕掛けていかざるを得なくなります。
OPEC総会減産合意なら吹き上げも
30日は奇しくも「OPEC総会」がジュネーブで開催され各国別の減産合意がはかられるかどうかに注目が集まっていますが、特定国が除外されても一定の減産合意が図られれば市場は「リスクオン」に動くことからドル円も再度買い上げられることが考えられ、ここから114円30銭まではそれほど遠い道のりではないだけに、この結果次第では114円30銭超えで12月相場を迎える可能性も十分に考えられる状況です。
12月14日のFOMC利上げは完全に市場が織り込み済み
毎度ご紹介しています「CME」のFedWatchですが、足元ではすでに12月の利上げ確率は98.2%となっており、珍しく完全に市場が利上げを織り込む状態となっています。
今回ばかりは逆に利上げを見送ることが市場を大混乱に陥れることになりかねない状況であり、市場のコンセンサスを重視する「イエレン議長」ですから、今回ばかりは利上げをせざるを得ないところに来ているものと思われます。したがって週末の「米国雇用統計」はよほどひどい数字が出ない限りはほとんど市場は反応しないことが予想されます。
むしろ4日に開催されるイタリアの国民投票のリスクを避ける動きが強まることのほうが大きな変動要因と思われます。ということでまだはっきりとしているわけではありませんが、一部のファンド勢が11月末で利益確定に回ったとしても、ドル円相場を押し上げようとする向きは依然強い状況にあるようで、ここからのイベントをこなしながらさらに上伸することのほうに注意が必要になります。
逆に今回一定の下落がでたことで日柄調整をしなくても上伸できる力がついたともいえることから、まだ戻りを試すのは早そうな状況といえます。
来週明けにすべてのリスクイベントを終えて果たしてどのような相場展開になるかを見てからでも売り場探しは遅くなさそうですから、この週明けからの動きだけで戻り売りを試すのだけは少し待つほうがよさそうです。
なかなかの神経戦の様相を呈してきている相場状況ですが、絶対ということはありませんので常にストップロスをおいて、動きがおかしいと思ったときには一旦退場して入りなおすぐらいの柔軟な姿勢が求められる時間帯に差し掛かってきています。、
(この記事を書いた人:今市太郎)