9月に入ってからまだ何日も経っていないにも関わらず、ドル円相場は酷く上下を繰り返し、週末にはまた103円台まで戻すという、なかなか個人投資家にとってはわかりにくい動きを継続させています。
正直なところ、9月2日にたいしてよくもない米国の「雇用統計」で一旦売られたドル円相場が金利が上昇したとは言え、104円30銭台まで買上げられるのもかなり不可解な動きでした。
週明け続伸かと思われた相場が東京タイムであっという間に下がってしまい、104円台に戻れなくなってからは米国のISM非製造業景況感指数の悪化で50を切ったわけでもなく大騒ぎで下落し101.192円まで底を試しにいってしまったのもまたなんとも納得しにくい動きとなってしまいました。
冷静に考えてみればいつものお決まりパターンで「雇用統計」で大きく買いあげられると翌週は下落というNFPピークパターンが展開されただけなのですが、目先の9月21日を意識するともっと異なる動きがでるのではないかと憶測したり期待したりするために、どうも相場の読みを間違えた個人投資家の方も多かったのではないかと思います。
8日木曜日の深夜に102.600円近くまで戻したのも「ショートカバー」としては結構よく戻したものだと思ったものですが、9日には102.500円にある大量のオプションのエキスパイアを前にしてNYタイムの序盤に103円にまで値を戻すという、これまたオプションがらみの結構強引な展開となってしまいました。
ドル円を買上げたファンド勢もかなり痛んだ一週間
このコラムでも何度か書いていますが、米系のファンド勢がかなりドル円ショートのあぶり出しを狙って買い上げをしたことはどうやら事実のようで、しかも「アルゴリズム」がこうした取引にもれなくついて回ることになるため、どうしても「オーバーシュート」気味に上がったり下がったりするのが個人手投資家には迷惑な動きとなっていることは間違いありません。
しかし当の仕掛け人であるファンド勢もうまく買い上げを続けることができず、自分で買上げた分を相場の逆行ですべて吐き出すという、ほとんど素人まがいのディールを繰り返してそれなりの損を積み上げているらしいという噂が出ています。
「CFTC」が9日発表した6日時点の建玉報告によると「CME」の通貨先物市場で投機筋のドル円のショートは5万4489枚と前回の6万3661枚から9172枚減少していますから、104円台への上伸ではさすがに応分のショートも切れたことが確認できますが、問題はそこからで、104円台から101円前半まで相場が下落してしまったため、上方向のロングもすべて切れてしまうという厳しい状況に追い込まれていることがわかります。
そもそも仕掛ける側も儲かっていないわけですから、レベル感だけで売ったり買ったりしていれば、間違いなく踏み上げられたり投げを余儀なくされたりしている人が多いのは当たり前で、週末はかなり痛んでしまった方も多いのではないでしょうか?
おそらく市場では今のドル円の動きに、かなり戸惑っている個人投資家の方が多いことと推察されます。
結果論では売りでも買いでもとれるが徹底戻り売りに商機あり
チャートを見た一週間の結果から言いますと、底値で買えたなら買いでも儲かりましたし、高値に戻ったところを丁寧に売っても利益はかなり出たといえます。
しかし実際に相場に張り付いていた方でも上昇か下落かを見極めるのはかなり難しく、しかも経済指標がきっかけなのであらかじめエントリーするのもかなりリスクが高いと思われたはずです。
こうした相場では売りなら売りに徹する売買でチャートを見ながら我慢に我慢を重ねて売り場をさがしてをみますと、下がらなくなってから買いのチャンスを逆につかむことができることも多くなりますし、どちらにもついていくという発想よりも利益を確保しやすくなります。
現状でのドル円は大枠ではトレンド相場が続いている気配濃厚ですが、上下の激しい相場では一旦戻り売り専門といった形に取引を限定してみますと相場の見え方がまた大きく変化してくると思います。
週明けの相場も同様の展開が続きそうですので、こうした視点で取り組んでみてはいかがでしょうか?
(この記事を書いた人:今市太郎)