5日に発表された7月分の「雇用統計」は6月に引き続いて好調な数字となり、それを受けてドル円は一時的に102円台にまで回復する動きとなりました。
5月の修正結果では3.8万人から1.1万人の増加と、さらに数字が減少する驚きの状態がでたため6月は回復しても7月がどのような数字になるのかが非常に注目されることとなりました。
結果は+28.7万人とかなり大きく上ぶれし、6月分も上方修正され、平均時給もプラスになったため9月以降の「FRB」の利上げに期待をつなぐ形となっています。
しかし実際の相場の動きは午後9時半の発表直後は101.50円にも届かない程度にしか上昇せず、一時的に101.20円レベルまで下がる始末で、その後ポンド円が上昇するのに伴って101.60円レベルでもみ合いをしゆっくり102円超まで上昇することとなりました。
102円台の滞空時間もごくわずかであり、いかに相場全体がドル円の「戻り売りを待っていたのか」が非常によくわかる動きとなりました。
その後は利益確定売りなどにも押されて101.722円レベルまで下げていますが、妙に101.60円台の時間が長く、なかなか101.70円を超えなかったことから、このあたりにショートがかなりたまっており、週明けのいよいよ場の薄くなる相場状況では一旦ショートが切れない限り下方向には下がらなさそうな状況になってきつつあります。
「閑散に売りなし」が基本ですから、週明けの一週間は一旦下げ止まりになる可能性もありますが、11日は山の日で休日であり、しかもSQの前日ということもあり、このあたりに何かの仕掛けが出る可能性には注意が必要になりそうです。
ポンド円が足を引っ張った相場
興味深いのは同じスケールで見たときのポンド円の動きです。9時半のNFP発表後はなんと下落を継続することになり、この動きがドル円のすんなりとした上昇を大きく阻むこととなったようです。
欧州通貨はこの発表後から対ドルで非常に弱含むこととなり、ユーロ円やポンド円などもそれにつれてドルにも円にも下落する動きを見せることとなりました。
ドル円だけ見ていますと、なぜこの中途半場なレベルに売りが沸いて出てくるのか不思議な気分になりましたが、結局この動きが解消されてポンド円が上昇しはじめてからは、ドル円も大きく上伸したことがわかります。
これまでポンド円などは、それほど意識する通貨ペアではありませんでしたが「BREXIT騒動」以降、非常にドル円に影響を与える存在となっていますので、8月のここからの相場についても常にポンド円をみながら売買してくことが意外なヒントを提供してくれることになりそうです。
ここからは売り場探しの我慢大会
米商品先物取引委員会(CFTC)が5日発表した2日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイ ル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)のドル円のショートは「4万1700枚」と前回の「3万4958枚」から「6742枚増加」しています。
それに、今回のゆっくりとした上昇で全体としてドル円はショートがさらにたまっていますから、もう少し買い戻しが進むことになると思われます。
102円台で満を持して売ったトレーダーも多いことと思いますが、週明けももう少し上のレベルまで「ショートカバー」がでることになるのではないでしょうか?
102.300円を超えるとかなりのストップロスがついて一旦ショートが切れることになりますので、ここからはどこまで我慢して、次なる売り場にたどり着けるかが大きな勝負になりそうです。
リオ・オリンピックもはじまっていよいよ市場参加者が減りそうな予感ですが、103円までは戻らないとしてもできるだけ高いところで売りポジションをキープすることが、9月に向けての利益確保の大きな第一歩となりそうです。
ちなみに7月29日の「日銀政策決定会合」では105.500円レベルで売れた「投機筋」もいたはずですから、多くのドル円ショートのコストはかなり高く、足元での売り仕込みの連中よりもかなり高いところから売りもちをしているため、一定以上のショートはまだまだ残りそうな気配で、やがて再売り浴びせのタイミングが到来するのはほぼ間違いないものとなりそうです。
おそらくそうした動きがでるのは、多くの「投機筋」が夏休みから戻ってくるタイミングなのではないでしょうか?
(この記事を書いた人:今市太郎)