6月第一週はとにかく市場の期待を悉く裏切る材料が続出し、とくに日経平均とドル円は想像以上の下落が進んでいます。
通常6月の「アノマリー」としては一旦ドル円は上昇し、夏に向けて下落するというのが定説になってきましたが、どうやら今年はこうした動きにはならなさそうな気配が強く漂いはじめています。
利上げが断行されるとは思えない
6月3日(金曜日)に発表された米国「雇用統計」を受けての市場の反応はさすがに過剰な状態すぎるとの指摘もでています。
来月になればあっさりNPFが改定される可能性ももちろんありますが、以上の反応を著しく気にしている「イエレン議長」がこのタイミングに無理をして利上げを断行するとは思えず、少なくとも7月までは実施の可能性はなくなったと見ていいでしょう。
株も為替も大きな下落に厳重注意
米国における利上げ時期が後ずれする中でドルが円に対して一方的に上昇する可能性は大きく後退しています。さらに「アベノミクス」の信認失墜、政策威力低下、さらに参議院選挙での勝ちが見えてきた政権の財政出動政策温存などから、7月の参院選を待つまでもなく日経平均とドル円は大きく売り込まれる可能性がきわめて高まってきています。
現状でも111円44銭レベルからはかなり下落が進みましたが、この先さらに105円方向に下落が加速することに十分な注意が必要であり、戻り売りに徹する売買を行うことが重要になりそうです。
今後のドル円のサポートラインとしては以下のようなポイントがあげられます。
・106円43銭(5月6日安値)
・106円24銭(5月4日安値)
・106円13銭(5月2日安値)
・105円87銭(200月移動平均線)
・105円82銭(200週移動平均線)
・105円54銭(5月3日安値)
・105円49銭(2014年10月16日安値)
・105円18銭(2014年10月15日安値)
・105円00銭(バリアオプション)
しかし既に106円50銭レベルに相場が接近していますから、週明けに窓空けが起きればそのレベルは簡単に下抜ける可能性があります。105円を下抜けますと、いよいよ100円台が近づくことになります。
英国の投票まで丁寧な戻り売りに徹したい
「CFTC」が3日発表した31日時点の建玉報告によると「CME」の通貨先物市場で「投機筋」のドル円のショートは1万4837枚と前回の2万2059枚から7222枚減少し、111円台に買いあがる過程でショートの買戻しが猛烈に進んだことを示しています。
逆に市場ではかなりショートがはけてしまったことから、ドル円は下げやすい地合になったということができます。英国の国民投票でさらに離脱に近づくような世論調査結果がでれば23日を待たずにドル円も大きく下落する可能性がでてきますので、ここからはとにかく相場が戻したら丁寧に売り持ちして下落するたびにしっかり利益確定を狙いたいところです。
100円台に近づくのは夏を過ぎてからではないかと予測してきましたが、実際にはかなりそのタイミングが前倒しになってきている感があります。
7月に「FOMC」が利上げを決定した場合にも、一旦はドル円は上昇してもその後の株価の下落からまたしても下値を模索する動きがでることは間違いありませんから、当面下方向を常に意識した売買を心がけるべきでしょう。
16日には「日銀の政策決定会合」も開催されますが、消費増税が延期になり、しかも財政出動も決まっていない中では「国債」の買い入れ額の増加などを日銀がこのタイミングで行うことはかなり感がにくくなって来ています。
ただし、株価が1万5000円を下抜けるような状況になればなんらかの対策を講じてく可能性がでてくるといえます。果たして16日までのそのような状況が生じることになるのかどうかが注目されます。
依然としてドル円は大きなトレンドがでているわけではありませんから一方的に下落が進むとは言い切れませんが、上昇要因がほとんどなくなってきているだけに下落をとるほうがFX取引としてはかなり効率的になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)
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