3日に発表された5月の「雇用統計」は皆様ご存知のとおり一桁のNFPとなり、さすがの為替市場も完全にドル売り祭りとなってしまいました。
数字に山谷がでるのはこの調査の統計上の問題もあるのではないかと思われますが、ベライゾンのストだけでは説明のつかない数字の悪さに市場は一気に嫌気し、6月~7月の利上げの目は完全にないとの見方が急激に広がりつつあります。
CMEのFedWatchレートは大幅に下落
6月の利上げ確率は直近まで30%をキープしていましたが、足もとでは僅か3.8%にまで減少しており、6月の可能性は完全に消えたといってもいい状態です。
また7月についても30.2%へと減少しており、市場は7月の可能性もないと見始めていることがわかります。この「CME」のFedWatchは「FRB」のメンバーも毎日見ているといわれていますので、少なからずその決定に影響を与えているようです。
「ローレンス・サマーズ」元財務長官も、この数字が7割以上にならない限り簡単には利上げできないとしており、現状では一気にこの夏の利上げの可能性がなくなってきたことになります。
ただ、今回の「雇用統計」の結果は一時的な可能性も残されており、6月に急激に回復することもありうるため、実際には全く実施できなくなったわけではないことも頭に入れておきたいところです。
イエレン議長は株価を見ながら利上げを考えているとの噂
ところで当の「FRB」は、結局のところNYの株式市場を見ながら利上げを考えているのではないか?というのが市場のもっぱらの噂になりつつあります。
ひとつのポイントとしてはS&Pが2150を超えたところで利上げを決意するのではないかといわれていますが、チャートを見ていただいてもお分かりの通り、なかなかこの2150という数字はつきそうでつけられない値になっていることがわかります。
国内の日経平均もそうですが、最近のNY株式市場は値上がり、高値維持ができても出来高は猛烈に細っており、世界の主要市場から資金が一旦逃げている状況が鮮明になってきています。
それだけに闇雲に数字だけが上昇しても利上げができるのかどうかは問題ですが、最低限この数字を超えるかどうかがFedWatchとは別のポイントになりつつあるようです。
出展 Yahooファイナンス
週明けからはさらにドル円の下落に注意
為替相場は「イベントドリブン」で結果を受けて大きく売り込んだ「投機筋」が存在するものと思われ、ドル円の価格は一気に106円台中盤にまで激しく下落することとなりました。
30日の夕刻111円40銭をつけてから、「安倍首相」の消費増税延期会見、英国の世論調査結果、雇用統計を3つの内容をベースにしてドル円はほとんど5円近く下落して週を終えることとなりました。
ここのところ、株式市場もそうですが、東京タイムから為替も薄商いが続いており、値跳びが激しく起こることになり、市場は超短期筋とアルゴリズムが登場するだけで上げ下げを猛烈に繰返す相場展開が継続中です。
どちらかというと「イベントドリブン」で流れが一気に変わる仕掛け売買もさかんに行われている気配濃厚で、今回もかなり大きく売り込まれることとなったことは間違いありません。
5月を振り返ってみますと、「日銀の政策決定会合」前に勝手に期待で買い上げられた相場は一気に売り込まれ、2日で6円以上下落しましたが、その後22日ほどをかけて一旦日銀の会合前に近いレベルまで戻され、そこからまたたった4日間で5円近い下落を見ることとなっており、週明け105円方向に全値戻しする可能性も十分にでてきているといえます。
6月相場に対して一定のシナリオを描いていたトレーダーの方々は、次々とその流れが崩れ始めていることから、6月もたった3日にして再度その中身を考えなおさざるを得ない状況に陥っていると思います。
これで英国の離脱などが決定してしまうと、本当に番狂わせのネガティブインパクト大会となるのが6月で、さすがにそこだけは回避してもらいものだと願わざるを得ない状況になってきています。
しかし相場は容赦してくれませんので、ここからのポジションテイクは十分に注意して臨みたいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)