12月18日の「日銀」によるまさかの補完措置発表でドル円株も下落したままとうとうクリスマスを終えることとなり、年末までにいったいどこまで戻すのかが注目されつつあります。
ドル円は完全似123.500円が上限となってしまい、どんなに戻してもこれ以上は簡単には上昇しない状況です。また株価も外人勢の買い上げが止まったなかで1万9000円台中盤まで戻すことができるのかが問題となってきています。
ただし、発表当初は意味不明だった「日銀」の補完措置はよくよく見ていくとさらに「QE」を続けるための予告編にも見えてきており、来年参院選の前にもう一度「黒田バズーカ」3があるのではないかとの見方も強まりつつあります。今回はこの補完措置に隠された「日銀」の思惑を追ってみました。
参議院選を睨んだ内閣サポートの緩和条件整備か
今回発表された「日銀」による補完措置はなんら目新しいものはありませんが、「国債」に関しては今回のルール改訂で短期国債だけではなく、かなりの長期国債を購入することもできるようになるため、徹底的に金利を押さえ込むつもりであることも伺われます。
その為、参議院選挙に向けて現行政権をサポートした「黒田バズーカ」3への布石ではないかと見るファンド勢が多くなってきているようです。
この場合実施時期は来年3月から5月ぐらいになるものと思われますが、一方で4月からは保有株式の売却も明確に提示していることから果たして本当の効果のある追加「QE」になるのかどうかも微妙なところとなります。
なにより特定政権の延命のためにこうした措置を「日銀」が果たしてとっていいのかという大きな問題もあり、実行の可否が問われることになりそうです。
政権は選挙さえ乗り越えれば株価は関係なくなりますし、「円安」で「インフレ」を示現させる政策から賃金上昇へとやり方をシフトしはじめていることからドル円はどこかのタイミングで大きな下落トレンドに切り替わることも可能性として想定しておくべき状況となってきています。
ある意味で株価の上昇は副次的なものでしかなく、本丸は「国債」金利をなんとしても上昇させないことにありますからどこかで株価と「円安」を「日銀」がサポートしなくなる時期がくることも想定しておく必要がでてきています。
「GPIF」の海外債券等の購入も一定のレベルに達していますし、2016年はいわゆる「PKO」と称するような動きがかなり限定的になりかねない状況で、参議院選のためにあえて「黒田バズーカ」が再発されれば事実上それが最後の「QE」となることも視野に入れておく必要がありそうです。
日本株式の賞味期限
海外ファンドの多くは「日本株の賞味期限は来年7月の参議院選挙までは続く」と考えているようで、年明け以降も外人の株式買いがコンスタントにでれば夏前まではドル円も上昇する可能性が残されますが、バズーカなしとなった時には一斉に売りがでることは間違いなく、このあたりの見極めがかなり難しくなりそうです。
また何もしなくても「日経平均」が2万円を維持できればこうしたバズーカも実施されない可能性があり、まさに株価を睨みながらの売買を迫られそうです。
逆にいえば大きく株価が下げた局面では「日銀」の緩和が実施される可能性もありますので、底値は常に拾って様子を見てみるといったこまめな動きも必要になりそうです。
しかし、今回の不透明な補完措置はかなりの投資家から不評を買っており、「黒田総裁」の信任を大きく低下させたことだけは間違いなく、今後市場が「日銀」をどこまで信用するのかといった問題も浮上することになりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)