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ECB理事会結果に疲弊したFX市場

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3日の「ECB理事会」を皮切りに走り始めた年末相場ですが、大方の当初予想には必ずしも一致しない動きが出始めており、4日の発表された米国の「雇用統計」結果も予想を超えたにもかかわらずドル円は大きく買われることなく、かろうじて123円台を維持して週末を終えています。

 ・米国雇用統計推移

連日の指標発表を消化しきれない市場

3日に発表された「ECB」の政策決定を受けて大きく買い戻しが入ったユーロドル、ユーロ円市場はさすがに大怪我をしたプロトレーダー、個人投資家が多く4日の「米国雇用統計」を受けての売買が著しく細った状態を示現することとなりました。
過去の経験則から考えても、連日重要指標が発表されて一度でも大荒れを経験した相場はその後動きが著しく鈍ることが多く見られ、相場が指標に反応しなくなる傾向がこれまでにも何度となく示現することがありました。
12月第一週の為替相場も完全にこの状態で、3日の450PIPS以上のウルトラショートカバーでインターバンクから「ヘッジファンド勢」個人投資家に至るまで多くの市場参加者がかなり傷んでしまったことを如実に表す状況となってしまいました。
雇用統計」発表後には121.380円レベルまでアルゴリズムの反応で買いあがったドル円でしたが、その後「OPEC」の増産報道などを受けてずるずる下がり、123円を維持できないまま122円台に下落、さすがに122円70銭台では買いが入り「LONDON FIX」にかけて123円台へとなんとか復帰してそのまま相場は売りの状態を迎えて市場は週末を迎えています。
前日の議会証言で「イエレン議長」が、たとえ「NFP」が10万人であっても利上げを実施する旨仄めかしたことも市場が完全に結果を織り込む形となった可能性が高く、利上げに向けて果たしてドル円があと2週間弱の時間にどのような動きを見せることなるのかが注目されます。
      

ユーロが単体でユーロ安を引き起こす相場は終焉か

3日の「ECB理事会」でのユーロドル相場の動きを再度おさらいしておきますと、まず市場は大方の見方通り「ドラギ」マジックでかなりのサプライズがでることを期待してユーロを売り込み、発表前にユーロドルは1.05のミドルを割り込む動きとなりました。

しかしFTが誤報をツイッターに書き込んだことから一旦買い戻しが入り、発表後に再度売りで1.055レベルまで戻ることとなったのです。
しかし「ドラギ総裁」が具体的な施策内容を開示し始めるとみるみるうちにショートカバーが広がり、一旦は1.08中盤で買い戻しが終わり相場は再度垂れてくる動きを見せましたが、さらにここからショートカバーが起こってしまい、数回チャンスのあった戻り売りに参加したトレーダーは悉く踏み上げられるという悲惨な事態に追い込まれたことになります。
最初のストップロスですべての顛末を見届けるまで何もしなかったかドテンにまわったトレーダー以外は少なからず損を抱えたことになり、一夜明けても「雇用統計」でドルを買いにまわる気力を大きく削ぐことになったのは言うまでもありません。
この「ECB」ディールのおかげで既にユーロは単体でパリティを目指すことはなくなったと見る向きが増えてきています。
市場の過度な期待と現実のギャップから必要以上に買い戻されてしまったユーロドルですが「雇用統計」の結果をうけても1.08500を割ることはなく、1.08725レベルで週末を迎えています。
この先一体ユーロはどうなるのかと方向感を見失ったトレーダーが多いことと思います。
ドルとユーロは政策的にも金利差もまったく逆さまの状況にありますから、ユーロが一方的に買いあがるとは言えないものの、独自の動きとしてパリティを目指す可能性はなくなったと見ていいのではないでしょうか?
 

16日までドル円が買いあがるのかどうかも微妙な状況に

これで12月16日の「FOMC」まで2週間弱の時間があくことになりますが、年末相場で上昇が期待された「日経平均」は市場参加者が少ない中で外人勢による売りを持ち込まれただけで、あっという間に435円という大きな下落をあっさりつけてしまいました。

また前日に1.09800レベルまで猛烈に買いあがったユーロドルは翌日の4日「米国雇用統計」前にずるずると値を下げ1.08600レベルまであっという間に下落するという動きをみせ、こちらも場の薄さを恐々することになりました。
既に市場は12月の「FRB」の利上げを完全に織り込んだ感もあり、噂で買うレベルはすでに終焉を迎えている可能性も高くなっています。
また「ECB理事会」でドル円の発射台が高まり、「雇用統計」でそれをさらに上回るシナリオを想定していた向きにとっては、かなり期待と異なるレベルに相場が留まってしまっているのも気になるところです。
そもそもこの年末相場の仕掛けは今年儲かっていない「ヘッジファンド勢」でクビのかかっているトレーダーが最後の起死回生を狙って買い上げを目論んだところから始まっていますので、彼らが買い上げをギブアップすれば事前想定とは異なる動きがでることにも注意が必要となりそうです。

FOMC以降に不安をもつファンド勢

市場の関心はすでに「FOMC」以降に向かっているようですが、市場には二つの見方が広がっているようです。ひとつはこの利上げがこれまでの利上げとは全くことなる結果をもたらすという見方です。

2004年のグリーンスパー議長当時の利上げはゼロ
金利からの利上げではありませんでしたから、今回のケースには参考にならないと主張するアナリストも多くなっています。「レイ・ダリオ」をはじめとする利上げ慎重派が心配する動きがこちらになります。
一方最初の0.25%の利上げまでは既に織り込んでおり、実は大きな混乱は起こらないといった楽観論をするアナリストも多くなっています。この2つの考え方はどちらが正しいのか今のところは判断がつかない状況で、プロの「ファンド勢」でも見方は分かれているといわれます。
したがってあくまで市場の初動を見てから判断するトレーダーが増えそうで闇雲に決め打ちして先行してしまうと大きな損失につながる可能性があるため、しっかりとした見極めをしてから次の一手を考えることが肝要な相場状況となっています。
(この記事を書いた人:今市太郎
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