1月22日の海外市場は、東京市場を受けてのNY市場における株価の大幅な反発から、リスク回避の巻き戻しが継続して終了するとことなりました。
NY原油先物が31ドル台まで反発、NYダウが一時250ドルの上昇、日経平均先物も17200円台を回復したことで、円やドルの巻き戻しが優勢となった形です。
ドル円は1月の「雇用統計」後の上昇レベルである118.88円まで上昇、ユーロドルは逆に1.0789まで値を下げて終了しています。
21日に「ECB」「ドラギ総裁」から示唆された3月ECB理事会時点での追加緩和の見直し示唆が大きく働いたとされていますが、市場では22日に日経新聞にも掲載された日銀の追加金融緩和に対する期待が極めて大きくなり、「日経平均株価」の戻りを誘発することとなったのはどうやら間違いがないようです。
週明けの相場は29日の決定会合を睨む形で更に相場上昇が期待されるところです。
FOMCは利上げスピードに対する配慮が声明に盛り込まれるかどうかがポイント
日銀の政策決定会合に先立って注目されるのが28日未明に発表となる「FOMC声明」です。
今回はさすがに利上げ期待をする向きはいませんが、今最大の問題になっているのは「FRB」が今年粛々と1%の利上げに向けて四半期に一度程度「政策金利」を上げていくことになれば、もはや新興国を始めとして世界経済は持たないという危惧の念が急激に高まってきています。
この事から、今回の声明で粛々と利上げを継続する旨の内容が織り込まれた場合には、株価が下落し、それに引きずられる形でドル円も下落する可能性が高くなります。
逆に「ハト派」的に市場に配慮した声明内容になれば、株価は好感して上昇することからドル円も上昇が見込まれることになります。
ただし、この2016年、地区連銀の投票権のあるメンバーについては、ニューヨーク連銀のダドリー総裁だけが理事と同様に常に投票権を有しています。
ほかの連銀総裁は年ごとに交代制となるため2016年の投票権を有する連銀メンバーは、セントルイス連銀のブラード総裁、カンザスシティ連銀のジョージ総裁、クリーブランド連銀のメスター総裁、ボストン連銀総裁のローゼングレン総裁という構成で、昨年と違いほとんどが「タカ派」だけで投票が行われることから、他国に対する配慮は出ない可能性も高くなっているのです。
この「FOMC声明」次第で、翌日の日銀の政策決定会合に対するドル円の発射台の高さが決まることになりますので、2日連続できわめて重要な政策決定会合が開かれることになるわけです。
29日の日銀政策決定会合はさらに危険がいっぱい
1月の日経平均の想像を超えた下落とドル円の115円台までの円高突入で、市場では日銀の追加金融緩和の実施を強く望む声が出ています。
しかし、12月に補完措置をとったことで、緩和の実施はいつでも可能な状態ではあるものの、参議院選挙用にできるだけ3月に近づけて緩和措置の実施をしたいのは間違いない状況ですから、このタイミングに「黒田バズーカ3」を期待するのはかなり難しい情勢です。
・現時点で、企業は非常に積極的な設備投資計画を維持しており、賃金も上昇している。
・金融市場の状況が企業行動にそれほど大きな影響を与えているとは思わない。
・中国政府はあらゆる形の景気後退に対応する手段を非常に豊富に持っている。中国経済に関する短期的な見通しについては比較的楽観している。
この発言により、オンエア直後にドル円は40銭もいきなり下落をする始末で、追加金融緩和に対する市場の期待に対して日銀が29日に応えることができなければ、またしても相場は大きく下落することを示唆する動きが垣間見られています。
週明けの為替市場や日経平均は29日に向けて一定以上の買い上げが期待されますが、その後の失望売りに対するリスクも大きく高まることとなりそうです。
「QE」実施、見送りにあわせては直前に逆指値の売りと買いを置いておけばあえてポジションをもった形で政策決定会議に臨まなくてすみますので、ちょっとした工夫が必要です。
12月19日の政策決定会合では上下に350PIPSも乱高下して大幅下落した経緯がありますので、とにかく関わらずに結果を静観するかポジションをもたずに仕込みをするかのどちらかの対応を選択するかが大きなポイントとなります。
(この記事を書いた人:今市太郎)