「日銀のマイナス金利」への市場の反応に翻弄されているうちに、どうやらドル自体のセンチメントが明らかに変化しつつあるようです。
3日のNYタイムもダドリーNY連銀総裁が、現在の金融環境が12月時点よりひっ迫している、として、3月の決定に影響があることを示唆するとともに、ドル高が米経済に影響を与えると指摘したことからドルが全面安の引き金を引くことになりました。
それに先立つこと2月1日は「スタンレー・フィッシャーFRB副議長」は、最近の金融市場の混乱について、一連の動きが金融の条件を継続的に引き締めることになるであろうと、1月6日のKY発言とは一転して市場動向が実体経済に及ぼす影響力に強い警戒感を示し注目を浴びることになっております。
こうしたFRB要人の利上げ軌道修正発言を市場は織り込み始めている模様で、ドルのセンチメントは微妙に変化しはじめているように見受けられます。
実際にドルインデックスは策ね11月末に再度100を超えたものの、その後は大きく下がり始めており、足元では96.3と97.0をも割込む勢いであり、ドル売りが加速していることがはっきりとわかります。
ドル円も円高ではなくドル安と見るわかりやすい
3日のNYタイムの終盤に「117円」初頭まで下げを加速したドル円も、円高というよりはドル安で市場を見てみるとその動きはかなりわかりやすい状況となってきています。
足元の相場状況に加え、「FRB」メンバーから繰り出される慎重で「ハト派的」な発言の影響もあり、市場は3月以降の米国の利上げが極めて難しく事実上不可能であるとする観測を織り込み始めており、3月「FOMC」に向けてさらにドルは売り込まれる可能性がでてきているようです。
2月10日には「イエレン議長」の米議会での発言が予定されていますが、これがひとつの試金石となりそうな勢いです。
「中央銀行」が小手先の「金融緩和」で相場をコントロールしていくこと自体がもはや無理な状況に陥っているともいえそうな状況であり、3月の「ECB理事会」「FOMC」「日銀政策決定会合」に向けても相場は予想以上に荒れる可能性がでてきています。
FRBまさかの緩和措置の可能性を指摘する声も
世界最大の「ヘッジファンド」のCEOであるブリッジウォーターアソシエイツの「レイ・ダリオ」は昨年の「FRB」の利上げ前から「FRBは利上げ後軌道修正を余儀なくされQE4の導入もありえる」といった発言を繰り返していました。
2月4日のブルームバーグ・FRBウオッチでは、市場に吹き飛ばされた利上げサイクル、次は緩和かといった記事もでかでかと登場し、現在の市場の観測では逆戻りもありうるとの見方が広がっているのです。
利上げ見送りは米金利の低下を招くことになり、日本の「マイナス金利」も後押しして米国債が買い進まれ始めています。
これでは日銀が緩和をしようが、米利上げを織り込んできたドル相場が上昇するわけはないというのが直近の現状となっているのです。
まさに大きな市場の様変わりが起きているといえます。本日は米国の「雇用統計」を控えていますが、今の雰囲気ですといい数字がでてもほとんど市場は反応しない可能性すらでてきています。
ドル円は当面丁寧な戻り売りで対応し収益を積み上げる戦略がお勧め
ドル円については日銀の政策決定会合後の全値戻しを受けて、一瞬方向感がわからなくなる事態に陥りました。
2月の10日はイエレン議会証言がありますが、中国は春節でお休み、他の「中央銀行」の政策決定も2月には予定されていませんので、この時期ドル円は丁寧に戻り売りをして3月まで利益を積み重ねる戦略を履行することがどうやら得策になりそうです。
相場は猫の目のようにセンチメントが変化していますが、こういう時期こそ「ファンダメンタルズ」を見据えながらテクニカルチャートを使ってうまいエントリーポイントを探していきたいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)