10月10日週、週初から急激に上昇したドル円は後半になって、中だるみになり中国の経済原則ネタで半日で1.3円も下落するといったなかなか波乱の動きになりました。
どうやらこの週のドル円の上伸を受けて、溜まりに溜まったドル円のショートがかなり解消したようです。しかしこれをどう読むかが大きな問題になりそうです。
IMMの投機筋ポジションは円ロングが大きく減少
「CFTC」が14日に発表した11日時点の建玉報告によると、「CME」の通貨先物市場で投機筋のドル円のショートは4万5909枚と前回の6万8695枚から2万2786枚減少することとなりました。
チャートの日付と相場の動きを見ていただくとわかりますが、101円台から急激に相場が上昇し、104円台を一旦つっかけて「雇用統計」で一旦沈み、週明けにまた戻してきたあたりまでが11日までの一週間の動きということになり、相場の上昇とともにドル円のショートが結構巻き戻る、いわゆる「ショートカバー」という動きが明確にあったわけです。
その後も104円60銭近辺まで戻していますので、さらにどのぐらいショートが切れることになったのかは次の金曜日まで待たないとわかりませんが、「ショートカバー」がそれなりにあったことだけはどうやら間違いないようです。
相場が上昇したからショートが減ったのか巻き戻しで上昇したのか
さて、ここからが問題となるわけですが、このコラムでもドル円の上昇要因としてすでにご紹介していますが、11月30日を目処とした、いわゆるファンドの解約に絡む資金捻出のための売買は今年の場合10月14日までに済ませなくてはなりません。
本来45日ルールでそれほど売買がでることはないのが例年の動きなのですが、今年の場合、異例とも思えるほどファンドの解散や解約のボリュームが多くなっており、寝かしておけない資金から順に換金が相当でたことだけはどうやら間違いがないようで、そのひとつにドル円のショートの巻き戻しがでたのではないかという推測が高まりつつあります。
つまり「卵が先か鶏が先か」という話でいえば、つみあがりすぎたドル円ショートをこれ以上もっていても下がらないと見たファンドが、この時期に解約資金の捻出のために巻き戻したことが、大きなドル円の上昇につながったと見ることもできるわけです。
これが嘘か本当かを確認するためには、17日からの週のドル円相場の動きを見ればもっともよくわかるということになりそうです。
つまり、17日以降も105円台方向に向けて買いあがる動きが継続するのであれば、ここまでのドル円の上昇は単にファンドの巻き戻しだけで上がったわけではないといえますが、102.600円から上にかなりあるといわれる「輸出勢の売り」をこなせるほどの力があるかどうかが試される週になりそうな気配となってきているわけです。
週明けからぱったり買いが入らなくなったとすれば、少なからずファンドの換金売りの影響があったことが確認され、45日ルールを越えたところで何も解き売りがでないとなると相場は相応に下落することが考えられるのです。
金曜日の買いあがり方は相当資金が必要に見えるような動き方でしたし、新たに買いを入れるよりは売りの反対売買のような感じでなかなか下がらずに同じような相場の位置を長くこなす推移になっていましたので、45日ルールのドル買いであった可能性はかなり高いのではないかと思っています。
13日104.600円超まで上昇したドル円は、中国の経済統計から崩れたといわれていますが、一方ではまとまった輸出勢の売りであっという間に崩れたという話もでており、ひとつだけの理由で下落したのではなさそうな状況です。
当面レンジ相場ということを考えると、大統領選挙が終わるまでは今のレベルが上限で101円との間を行ったりきたりすることも考えておく必要がありそうです。実際に週が上げて相場が動いてみればこの推察が当たっていたかどうかはすぐにわかることになります。
(この記事を書いた人:今市太郎)