FXにおけるスイングトレードの特徴
スイングトレードは数日から数週間、長ければ数ヶ月程度に渡ってポジションを保有し売買していく、比較的長丁場なトレード方法です。したがって、大きな利益を得ようとするならば、売買しようとする通貨ペアに、ある程度トレンドが発生していることが成立要件となります。
数日間の保有であればまだしも、数週間以上ポジションを保有するとすれば、狭いレンジ相場では厳しくなってきます。ですから、資金効率の面から考えても、動きが活発化している通貨を選択し、売買を行う必要があるのです。
スイングトレードのメリットとしては、ちょっとした値動きに一喜一憂しない取引スタイルであるということです。この部分は非常に魅力的であり、その特徴からサラリーマンなど時間的余裕がない方にお勧めのFX手法になります。
スイングトレードでは、どの位の期間で決済するのがベストなのか?
スイングトレードのポジション保有期間は、相場次第のところがありますが、前述したように、数日間~数か月間によるポジション保有です。
これは事前に想定したトレンドの到達域と、実際の動きとのフィット&ギャップの分析でどこまで持ちこたえるかを考えていくことになります。
たとえば、少し昔のFX相場になりますが、「2012年末」から始まったドル円の上昇局面では、押し目が少なく、翌年の2013年12月まで上昇を継続する展開になりました。チャートが完成した後ですと、保有し続けるのは簡単に見えます。
しかし、実際にポジションを持っている状態ですと、そう簡単にはいきません。
上記のチャートは週足ですが、勢いのある上昇トレンドで、ローソク足が「陽線」になっていても、1週間の攻防においては、急落があり何度となくピークになりそうな気配があります。
2013年6月には、久しぶりに大きな調整の下落が入っていますが、このような相場で何の不安もなくポジションを保有し続ける人は、なかなかいません。
例えば80円付近のかなり余裕があるロングポジションを持っている人であっても、このような下落をリアルタイムで目にすると”疑心暗鬼”になってしまうものです。そして深い押し目で決済をして、せっかくの大相場を逃してしまうのです。これがFXの難しいところであり、皆さんが頭を悩ませる問題です。
その位、テクニカル分析によって納得のいくものを確信していかないと、スイングトレードで、長期間ポジションを保持するのは難しくなります。どの位の期間ポジションをキープし続けるかは、まさに自分との戦いでもあるのです。
スイングトレードで選択する通貨ペア
FXでのスイングトレードが成功し易い通貨は「トレンドのはっきり出る通貨」と言えます。
たとえば、ポンド円はボラティリティが激しい代表的な通貨ペアであり、一方向に動くと勢いがつきやすい傾向にあります。
ただし、どんな通貨ペアにも「旬」があり、その通貨を中心として相場は動いていくことになりますので、「旬をしっかり見極める」ことが重要になります。
上記は過去5年間のポンド円チャートになります。この値動きを振り返ってみると、2013年の前半は明らかに円が旬の通貨であり、ポンド円も上昇する形になりました。
まさにスイングトレードに適した、魅力的な上昇相場といえます。しかし、2014年は、4月以降は3ヶ月以上膠着状態を続け、全くスイングトレードに適した通貨ペアではなくなっている事が分かります。
2015年の入ると、2014年よりはボラティリティーが発生したものの、上下に方向感がない難しい展開でこういった相場ではポジションの保有が難しく辟易としてしまいます。
一方、2016年に入ると一転して大幅な下落を見せます。この2016年はスイングトードを行っていた人には絶好の儲け場であり、面白いように利益が積みあがったことでしょう。一時的な戻しがあっても直近の高値は超えませんから、ロスカットに到達することなく儲けることができたはずです。
今回はポンド円を例に出しましたが、全ての通貨が同じような動きをするわけではありません。2014年、2015年のようにポンド円が低迷していた時期にも、”動いている”通貨は必ずあります。
このように、常にスイングトレードに適した通貨というのは「変化していく」ものだということは予め理解しておく必要があります。理想は、いくつかターゲットになる通貨ペアを事前に選択して、毎日、または毎週、「日足チャート」や「週足チャート」を見続けて選定していくことです。
FXで有利なポジションを長く持ち続けるためには、「準備」が大切であり、その準備期間も長くなるということです。
「スワップポイント」も考慮してエントリーする
最初は、数週間程保有する思惑でエントリーしたポジションでも、、相場の動き次第で「長期保有」に切り替えようというFXトレードも出てきます。
このような状況も事前に考慮して、スワップ金利についても気にしておく必要があります。たとえば豪ドル円ならば、国内では1万通貨の保有で「1日50円」程度のスワップ金利がつくところもあります。
しかし、逆に豪ドルと売って円を買った場合「70円」近くのスワップ金利を支払うことになるケースもあるわけです。FX業者は、このスワップ差分が直接的な儲けとなるため、設定している金額差はFX業者によって違ってきます。
「スプレッド手数料」については気にするが、「スワップ手数料」は全く気にしないという方が多いですが、事前に通貨ペア毎のスワップポイントに気を配っておくことも大切です。
単に1万通貨で30日豪ドル円を売り持ちすれば、2千円程度の負担ではありますが、これが10万通貨ならば2万円の負担となり、利益から消えていく勘定になります。
スイングトレードしていて、日々マイナススワップが膨らんでいくのはストレスがかかるものです。コストのかからない通貨ペアの状態が、「精神的な余裕を生み出す」ことになります。これが、長期間ポジションを保持し続けるうえでの、大きなポイントとなることを忘れてはなりません。
スイングトレードでターゲットにするpips
スイングトレードは取引スタイルや考え方によって、目標利益が異なりますが、1回で最低100pips程度は確保していきたいものです。
ドル円ならば1円以上の獲得を目標としてトレードする投資家が多く、さらにその利益を伸ばしていくことに専念するわけです。ただし、先ほどのチャートで振り返ったように、2014年を例にするとクロス円は本当に動きませんでしたし、ユーロドルも例年の半分程度しか動きませんでした。
このような相場状況も想定して、確実に動く通貨ペアの選択が重要になってきます。例えば、ポンド円や豪ドル円、ユーロ円などであれば、トレンド相場においては、スイングトレードで100pips程の利益を目標にするのは勿体ないです。トレンドが発生した時は数週間で、500pips以上の利益も期待できる通貨ペアです。
このように、通貨ペアと遭遇している相場環境次第で、獲得pipsの目標数値が違います。ですから、通貨ペアの値動きの特徴を見極めて、常にボラティリティを把握しながら、売買ポイントを探っていく必要があります。
FXのスイングトレードはメンタルとの戦い
大きな利益を目標にしていくのであれば、精神的な部分で強くなっていく必要があります。
「
スキャルピング」や「
デイトレード」であれば、その日のうちにほぼ全てのポジションが決着していきます。ですから、儲かっても損をしてもそれで一旦スクエアになるのです。気持ちも資金も、また新たに翌日からポジションを作っていくという投資になります。
しかし、スイングトレードは違います。一定期間ポジションをキープし続けなくてはなりません。
ちょっと相場が下がれば、殆どの個人投資家は利益確定をしたり、損切りをしたりしたくなるものですが、どのような状況まで我慢するのかを決めて、それを忠実に守り抜くというのはかなり精神的にも負担になるものです。投資をやっていれば必ず「天使の囁きと悪魔の囁き」が交錯することになります。
つまり、テクニカルの裏づけもさることながら、「相場の流れに動揺しないメンタル面での強さ」を身につけることが必要となります。
特に利益が出ていた状況から、その利益が減るような形で相場が動いてしまう場合には相当精神的にプレッシャーとなることは間違いありません。
例えば、100円でエントリーしてすぐに102円まで上昇。目標のリミットは104円。しかし、一転して売られる展開になり101円まで下落した。FXの相場は上げ下げを繰り返しますので、よくある値動きですが、果たしてこの状態で当初の計画通りに104円までポジションを保有できるか?
こうした状況を平常心を持って対応できるが、安定した利益を実現するために重要になってきます。
万全の準備をしているトレーダーがチャンスをものにできる!
スイングトレードは、トレーダーがいくら「投資をしたい」と切望しても、サーファーが大きな波の到来を心待ちにするのと同じように、相場のタイミングが揃うことを待つ必要があります。
それまではしっかりとテクニカルを読み込む力を蓄え、日ごろから十分に研究を重ねて市場にポジションを作るタイミングを見計らうことが重要なのです。
「日ごろから万全の準備」をしている、FXトレーダーだけが絶好のチャンスを活かして相場に乗っていくことができると言っても過言ではありません。
3日に1回しかチャートを確認しない人と、4時間に1回チャートを確認する人では、大きな差が出るでしょう。運も見方につけることが必要となりますが、しっかりとした相場感とエントリーのタイミングが大きな味方になってくれることは間違いありません。
後は、自分の判断を信じて、ポジションを維持し続けていくことが求められます。それは、過去のチャートを検証し、自身が設定した売買ルールに、絶対的な自信を身に着ける必要があります。
スイングトレードは、損切りの幅も短期トレード比べると大きく設定できますし、時間的余裕があるから、簡単と思われるかもしれませんが、見かけ以上に大きなプレッシャーを受けながら売買をしていくことになるのです。
スイングトレードのおすすめFX手法