読み込み中...先週発表された中国の経済指標が軒並み改善されており、市場はこれを好感しています。
■中国1-3月期GDP
・結果：6.4％
・予想：6.3％
・前回：6.4％
■中国3月小売売上高
・結果：8.7％
・予想：8.4％
・前回：8.2％
■中国3月鉱工業生産️約4年半ぶり高い伸び
・結果：8.5％
・予想：5.9％
・前回：5.3％と
いった具合で、偉く経済が復調していることを感じさせるデータとなっています。
たしかに昨年10月から所得減税が実施されたり、年初からは中小企業への減税実施、インフラ投資の積極化策などが実施されていますが、それにしても昨年どん底だった中国景気がこんなに早く底入れするというのはかなり不思議な状況です。
市場はこれを素直に好感しているようですが、アルゴリズムがテキストを読み込んで無防備に買いで反応しているだけにも見え、本当に大丈夫なのかとも思える状況が続いています。
日本のデータでは対中輸出は3月9.4％減少
財務省が4月17日に発表した３月貿易統計速報は、貿易収支が５２８５億円の黒字で黒字は２カ月連続でした。
金属加工機械や液晶デバイスの減少などから、中国向け輸出は9.4％減少しており、中国側の発表数字を反映したものにはまったくなっていないところも気になります。
中国のGDPほど信用できないものはない
2007年遼寧省の共産党委員会書記だった李克強は、中国の経済統計は信用できず、電力消費量、鉄道貨物輸送量、銀行融資額をみて経済の成長推移を見計らっていると発言していたことがあるそうです。
地域政府が出してくる数字そのものが適当であり、結果として全人代が開催される時期に発表されるGDPの速報値などは事実に基づくというよりは、作られた数字である可能性がかなり高くなっています。
今回も事前予想よりも若干いい6.4％がGDPとなっていますが、中国国内の学者によればほぼ話三分の一で２％ちょっと成長している程度なのではというなかなか衝撃的な話も登場する始末です。
これまでもずっと数字はねつ造されてきたものと思われますが、それでも西側諸国がそれなりに潤ってきたわけですから、足元の状況というのはそれに比べると相当悪化していることは容易に予想される状況です。
GDPに関しては中国に引けを取らない改ざん国家が我が国ですから人のことは言えませんが、どうもこうした発表をそのまま素直には喜べないのが正直なところです。
主要国経済との連携性が高まる中国の景気
かつて中国経済はあらゆる面で自国の中だけで閉じた状態になっていたことから、株価が暴落しても不動産価格が大幅に下がってもいきなり西側の主要国経済に影響を与えるものではない時期がありました。
しかし低賃金で世界の工場として輸出をする存在から、自国での消費が大きな成長のベースとなってきた今日では、やはり中国の景気が悪いことがそのまま先進主要国の景気にも反映する様になってきていることが非常に気になるところです。
ドイツの自動車販売が停滞するのも中国起因であることが大きくなってきていますし、海外からの投機筋がオフショアの上海株式市場にも資金を流入させるようになってきていますから、中国の株式市場が大幅に下落するということはダイレクトに影響がでる状況へと変化していることがわかります。
現状の中国政府が発表する経済指標をそのまま真に受けて喜んでいて本当にいいのかという疑問は常によぎる状況です。
とくに上海株式市場の上昇は市場の安心材料として機能していますが、すでにめいっぱい上昇しているのではないかとの見方もあるだけにあまり安心してはいられないところにあると考えるべきでしょう。
米中貿易協議も５月末にはいよいよ締結で首脳会談開催かといった報道がしきりに飛び出していますが、現実には簡単に手を握れない部分がまだ相当残っているともされており、トランプは２０２０年の選挙のための成果をいちはやくあげたいのでしょうが、そうは問屋が卸さないこともやはり想定しておくべきではないでしょうか。
いきなり悪化が始まれば為替にダイレクトに影響がでるだけに油断は禁物です。
（この記事を書いた人：今市太郎）
