週明けから米株がまたしても上昇過程に入っています。ブルームバーグの報道によるとS&P500の50日移動平均線が200日移動平均線を上抜け、いわゆるゴールデンクロス状態を示現しているため、これが市場をさらにブリッシュにするのではないかという見方をしています。
しかし米株自体は相当高値で推移しており1~3月の決算発表を前にしてここから買い上げる向きが本当にそんなにたくさん存在することになるのかがここからの相場予測に大きく影響を与えそうな状況になってきています。
決算は4月中盤から後半にかけて最盛期になりますが、ブラックアウト期間ということで企業の自社株買いも出ない時期に相場を買い上げているのは一体誰なのかという疑問も湧いてくる市場です。
取引高を伴わない売買
CMEが公表している最新のCOTレポートにおけるS&P500のチャートを見ますと、実需筋は上述のブラックアウト期間も絡んでいるのか買いが収まっていますが、一部の大口の投機筋が若干買いに回っている程度で、全体としては決して取引量をともなった売買にはなっていないことが気になります。
米国の大手金融機関はすでにこの1~3月の米系企業決算の見通しについて、米中貿易摩擦の影響を受けてかなり決算数字が下落することを予想しているのが現状です。
そもそも株価のレベルは直近のバフェット指数で見ますと依然かなりの割高水準を維持しており、長期投資に乗り出すタイミングではないことは明白です。
ドル円の動きに大きな影響を与える可能性
ドル円相場は基本的に米10年債金利に大きな影響を受けますが、足元では2.5%程度が上限でそれ以上は上がらない状態が続いていますから、相場としては米株の動きのほうにより大きく反応する正相関の相場となっていることがわかります。
■バフェット指数
4月から始まる米国企業決算が市場予測以上に悪化した場合には問答無用で株価に影響を与えることになりますから、ここからのドル円のロングはその状況を確認しながらの売買が必要になりそうです。
短期の投機筋に売買というのはアルゴリズム主体で常に登場するものですが、投機だけに買えばどこかで売ることになりますから安定的に相場を上昇させる材料にはならないのが現状です。
日本株も上昇のあてにはならない状況
国内では改元ご祝儀相場などという言葉が飛び交っていますが、その割には大きく相場が上昇する気配があるわけではなく、レンジの上限で推移しているだけの状況が継続中です。
新元号の発表前に開示された日銀短観によれば、大企業・製造業の企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、プラス12となっており、前回2018年12月調査のプラス19に比べて7ポイントも悪化しています。
この悪化は2四半期ぶりのもので7ポイントの悪化は実に12年12月の9ポイントの悪化以来の数字になっています。この12年12月は安倍政権が再スタートした時期にもあたり、その前の民衆党政権の置き土産のような数字ですが、すでにそこに戻ってしまっていることがわかります。
また先行きについてはプラス8と、さらに4ポイントの悪化を見込んでおり、製造業はまったく先行きを楽観視していない状況です。
市場では4月の日銀政策決定会合でなんらかの追加緩和措置を望む声も高まりつつありますが、果たしてこのタイミングで大規模な追加緩和を実施できるのかについても大きな疑問が残るところです。
選挙のある年は日経平均が堅調に推移するという見方も強いわけですが、足元の日米の株価状況を見ていますとドル円が一旦下落に追い込まれるリスクも高そうで、引き続き株式相場の動きに注目しながら売買を進めていくことが必要になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)