読み込み中...米国のペンス副大統領が中間選挙直後でありながらも来日し、安倍首相と会談を行いました。
当初は北朝鮮を含むアジア情勢について会談するなどと言われていましたが、結局蓋を開いてみれば日米貿易協定について会談したわけで、しかも会談後モノのほかサービスを含む主要分野で新たな条件を設けるものとなるとFTAであることを明らかにしていますが、安倍首相はFTAとは全く異なるとの認識を示しており、両国間の齟齬は明白な状況です。
実は日本政府が国内への言い方を隠蔽しているだけか
両国の首脳が会談して互いに記者会見してもこれだけニュアンスが違うというのはどちらかが作為的に嘘をついているだけではないかと思われるわけでが、麻生財務大臣は日米貿易交渉については話をしないとまで明言しており、その発言は相当不思議なところに陥りつつあります。
たしかに貿易問題について交渉の予知はなく一方的に自動車関税をはじめとする具体的な内容について引導を渡されただけなのかも知れませんが、間違いなく中間選挙後米国のターゲットは日本との貿易交渉における二国間協定の締結にフォーカスされ始めているようです。
対中国包囲網として為替条項締結は必須
為替相場の視点で注目されるのは名前はどうあれこの二国間協定に為替条項が盛り込まれるかどうかの問題です。
本邦サイドでは同盟国間でそのような内容が載るはずがないという荒唐無稽の楽観論も飛び交っていますが、すでに韓国、メキシコと同一条項を盛り込まれていますから、もっともいうことを聞きやすい日本がFTAでこの条項を入れられないわけはない状況です。
恐らく年末から年明けにかけて議会を通じなくても簡単にトランプが口をはさむことのできる日米の為替の問題にツイートなどで言及してくることは間違いなく、どのタイミングになるか次第ではありますが、ドル円相場の今後はそう上方向に青天井とは言えない状況が続くことが容易に想定されるところです。
トランプ政権は最終的に主要国を集めて、第二のプラザ合意的なドル安協定の実施を目指しているともされているだけに、こうした条項が盛り込まれることはもはや避けられないところに差し掛かっているものと思われます。
本当のことを伝えない安倍政権に不信感が高まる
貿易交渉は相手のあることですから、不利に働く条項が組み入れられたりすることは十分に考えられるものですが、最初から二国間協定がFTAと異なるものであると詭弁を使ったり、その交渉状況を詳らかにしないという安倍政権のやり方には違和感を覚えます。
協定の締結となればそうした齟齬の部分がすべて明らかになり、結局日本側としては相当困った事態に陥ることが考えられますが、なぜ真摯に実情を国民に伝えないのか非常に理解に苦しむ状況となりつつあります。
足元では内閣府が発表しているGDPの中身がおかしいのではないかと日銀が独自調査をはじめるといった驚くべき事態も起きており、この政権のありようが様々な局面で問題化しつつあります。
モリカケ問題で適当に誤魔化すことで、国民の批判をかわすことは簡単と高をくくっているのかも知れませんが、米国はそう甘い存在ではなく、現実の問題を突き付けられたときにこうした二枚舌のような姿勢をいつまで貫くことができるのかが非常に危惧されるところです。
少なくとも来年以降ドル円はかなり水準の重い展開が続きそうで、利益を上げるためにはほかの通貨ペアの取引を常態化することも考えなくてはならない時期に来ているのかもしれません。
恐らくトランプが近々に為替について言及することで米国が望むレベルというものが明らかになってくることでしょうし、日本側はそれに合わせざるを得なくなるのではないでしょうか。
（この記事を書いた人：今市太郎）
