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現FRB議長ジェローム・パウエルの政策とトランプとの関係

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10年前のリーマンショック以降、米国をはじめとする先進主要国の中央銀行の非伝統的な金融緩和政策が実施されたことにより、その政策が経済の回復と株式市場の上伸に大きな役割を果たしてきたといえます。

しかしその緩和の中心にあった米国FRBは昨年からすでに緩和の出口に向かい、今では利上げとFRBの資産売却を進めることで金融引き締めへと大きく舵を切ることになりました。
そして2018年2月トランプ政権発足後、イエレン議長からバトンタッチしてFRB議長に指名を受けて就任したのが「ジェローム・パウエル」第16代議長です。
世界の金融市場は、今やFRBをはじめとした中央銀行が繰り出す政策に非常に注目をしており、その政策内容次第でマーケットも大きく動くようになってきているといえます。
今回は市場に大きな政策インパクトを与えるFRBのかじ取りを行う「パウエル議長」にフォーカスし、意外に知られていない同氏の人柄やその発想などについてまとめてみることにいたします。

そもそもFRBとは‥

FRBは「The Federal Reserve Board」の略号で、日本における日銀と同様に米国における中央銀行制度の最高意思決定機関と位置付けられています。

ただ、日本と少し異なるのは、もともと米国は州が集まってできている合衆国ですから、全米の各地区連邦準備銀行も政策運営には深く関与しております。
各地区連銀の総裁のうちの代表5名と常任の7名の理事から構成された「Federal Open Market Committee」通称FOMCと呼ばれる会議体ですべての政策決定が行われる形となっています。
この会議体は6週間ごとに年間8回開催される形となっており、パウエル議長は2012年からこのFOMCの常任の理事として働いてきた存在から、今回トランプ大統領により議長へとアサインされることになったわけです。
議長は既存のFRB関係者の中から選出されることもありますし、まったく別の存在が候補者となって選出されることもありますが、今回のパウエル選出は、関係者からの指名となったわけです。

異例の経歴

第16代FRB議長である「ジェローム・パウエル」の略歴は以下のとおりです。

・1953年ワシントンD.C.生まれ、プリンストン大学卒。
・その後ジョージタウン大学にてJ.D取得の弁護士資格保有者
・1984年から1990年までディロン・リード&カンパニーの上席役員・その後ジョージ
・ブッシュ政権下では財務次官補から財務次官に任官・1997年から2005年までは一旦政府の職を離れカーライル・グループ共同経営者。
・2012年に連邦準備制度理事会(FRB)の理事に就任、2014年6月16日に再任され28年までの任期を全う中にトランプ大統領に任命され2018年2月より16代FRB議長。
これまでFRB議長は経済学者に近い存在が歴任することが多かったわけですが、経済学博士号を保有しないFRB議長は11代FRB議長のウイリアム・ミラー以来40年ぶりの起用となりました。
パウエル議長がいわゆる学究肌で、経済学の研究畑を歩んできた歴代の議長などとは異なる実務派議長であることがわかります。また、それがパウエルの大きな特徴となっているともいえるのです。

ミスター普通と呼ばれる人物

米ウォールストリート・ジャーナル紙はパウエル氏が議長に就任することになってから同氏を「ミスター・オーディナリー(普通)」と呼んでいます。

見方によってはずいぶんと失礼な言い方でもありますが、実際のところ現実的で、合意形成を重視する存在ともいわれ、これまでのFRB理事時代、反対票を投じたことは一度もないというのも大きな特徴とされています。
FRBの中でも「突出した存在でなかった」ことがこうした呼び方をされる大きな理由になっているようです。
つまり周辺の意見をよく聴き、全体の方向感に合わせた判断を行うことができる存在というわけで、決して目立つ存在ではなく独自の理論で組織を引っ張っていくようなタイプでもないことをうまく表しているともいえます。
その一方で「規制緩和」を支持し、金融政策はさほど引き締め派という堅苦しいタイプでもないことから、トランプが目指している「ボルカールールの廃止」との親和性も高い存在と見られており、就任後もこの法律の廃止関連には一切口を開いていない状況です。
見るからに地味な印象はまさに「ミスター普通」といえるわけですが、トランプはウォール街での経験が長いことから、パウエルの民間での経験を重視して選択したとされています。
とくに経済学の博士号を持っておらず、独自の理論で政策を考えない点はビジネスマンのトランプにとっては非常に好都合である点、またイエレンは民主党支持者ですが、パウエルはもともと共和党のブッシュ政権での実務経験もあったことから、議会からの承認を得やすい存在であったこともその起用の大きな要因となっているようです。
メリーランド州の高級住宅街に居を構えるパウエルは、見かけの地味さとは別にゴルフもかなりの腕前のようで、ワシントンにおける政治家との人脈はFRB関係者の中にあってもかなり幅広いとの定評をもっています。
一説には「バーナンキ」「イエレン」の在任期間中に接触のあった議員よりもはるかに多くの議員と食事や野球観戦をしている実績を持っているとも言われ、FRB議長就任後トランプの標的になったとしても、このパウエルの政治人脈が役に立つのではないかと評価する向きもいるようです。
意外にそつのないビジネスマンとしてのパウエルの横顔がこうした逸話からうかがえる状況です。

金利後ずれのイエレンの尻ぬぐいからスタート

前任者のイエレン議長は在任期間中に100か月近い景気の拡大期を経験してきたわけですから、本来はもっと早くに利上げを行い、今後「起きるであろう」リセッションに備えるべきでした。

しかし、チャイナショックなど様々な理由をあげては株価が下落することを極度に恐れていたようで、結局自身の在任期間中は「一回の利上げ」だけで議長職を後にすることとなっています。
お陰でイエレン議長は在任期間中相場の暴落という厳しい市場の洗礼を一度も受けることな
く、退任にこぎつけることができたともいえます。
しかしその分、後任のパウエル議長は近づくリセッションに向けてなんとか量的な金融緩和ではなく金利で政策を履行できるように、少しでも現状の景気のいい状況下で利上げを行わなくてはならず、2018年も年4回の利上げを実施すべく政策を推し進めている状況にあります。

利上げを急げば1937年の二の舞いに

しかし過去100年近く、米国はFRBが積極的な利上げを行った直後に景気が悪くなり、とくに株式市場はFRBの利上げ後に大きく値を下げ、暴落した経験が多いだけに、あまり拙速な利上げは経済に想像以上の影響を及ぼすものとしてその危険性を指摘する向きも増えています。

とくにFRBには1937年の悪夢の再来という、大きな失敗経験の問題が横たわっており、常に加速度的な利上げに過去のこの事例が重くのしかかってきていることもまた事実となっています。
1927年に大恐慌が発生したことは多くの方がご存知と思いますが、この大恐慌後、米国政府は「ニューディール政策」いったケインジアン的な政策により金融緩和を実施しましたが、1936年に景気が回復したところで預金準備金率を引き上げる政策に転換しました。
また当時大統領であった「フランクリン・ルーズベルト」はこれと同じタイミングで財政削減も打ち出し、37年の政府支出を前年比8%減らし、翌38年も10%削減したことから景気は大きな異変を生じることになってしまうのです。
これをきっかけにして回復基調だったGDPは翌1938年にマイナス3.4%へ下落となり、株価は一年で半分となり、結局元に戻るまでには世界大戦を経て10年の歳月がかかるという大きな間違いを冒しているのです。
世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーターのCEOである「レイ・ダリオ」はかねてから足元の状況が1937年似ていると警告を発しています。現状で景気がいいからという理由だけでFRBが利上げを加速させることは、常にこうした景気悪化の引き金を引きかねない状況にあることは認識しておかなくてはなりません。
パウエルの担うFRBはここからかなり難しいかじ取りを迫られていることがよくわかります。とくに足元の債券金利は、2年債と10年債のスプレッド差が0.24%と狭まっており、このまま利上げをすれば短期金利だけが上昇し、長期金利は上昇しないままフラット化、もしくはさらに進んで逆イールドを示現しかねないところに差し掛かっている点が危惧されます。
 Data Y chart as of Sep 6th .2018
とくにイールドカーブの長短金利が逆転する「逆イールド」が起きますと、その後長くても1年から1年半後に大きな景気の後退とともに相場の大幅下落に見舞われることが多いだけに、FRBの中でもこの状況を危険視する動きがあります。
果たしてパウエル議長がここからの「利上げのスピード」をどのようにコントロースしていくことになるのかについても市場の大きな関心を呼ぶことになりそうです。
奇しくも9月15日で国内ではリーマンショックと呼ばれる世界的な金融恐慌から10年を迎えるだけに、どこかで大きな相場の下落が起きる可能性は一段と高まりを見せており、パウエル議長の在任期間中にそうした状況が起きるリスクはかなり高い状況となっています。
それだけに利上げのスピードをどのように調整していくかは非常にクリティカルな問題になってきていることがあらためてわかります。

トランプとの関係をどう維持するのかも大きな注目点

パウエル議長にはもうひとつ大きな注目ポイントが存在します。イエレンとクビにしてわざわざ自分のアサインしたトランプが利上げについて意見とも強要ともとれる発言をすることに対して、どのように対応するのかという大きな問題です。

そもそもFRBは政治の意向に左右されない独立した金融政策執行部門とされてきていますが、やはり民主党政権にアサインされたFRB議長は少なからず民主党にプラスになるように尽力します。
また、共和党政権時にアサインされた企業は共和党に気を遣うのは当たり前で、世間が考えているほど中立で政治に左右されない存在とは言い切れないのが実情です。
まして今回あからさまに民主党員のイエレンのクビを切ってパウエルにすげ替えたのは外ならぬトランプです。トランプの意向にどこまで忖度するのか、あるいは完全にかわしながら任期を全うすることができるのかにも大きな注目が集まるところです。
トランプ政権が実施している政策は、ほぼ完全雇用が実現している中での大型減税に加え、さらにここからインフラ投資を行おうとしております。しかも「移民は認めない」、中国を始めとした国への巨額の防衛関税の恒久的な実施も加わって、ここからインフレ率は確実に上昇しかねない状況にあります。
その一方でトランプはすでに日本円にして2200兆円という莫大な債務を抱えている中で、利上げを行うことは米国の財政に非常に大きな影響を及ぼすと経済学的には背反的なことも平気で口走っており、パウエル議長がこうした一貫性のないトランプの要求にどのように対応していくのかについても大きな関心が集まりつつあります。

本格的なインフレが到来すればFRBの打つ手なし

現状の米国経済はインフレになりやすい政策が次々と打ち出されているものの、本格的なインフレには陥っていないことから、ここからのFRBの金融政策はまだまだ対応策が考えられる状況にあります。

しかしながら、本格的なインフレが起きた場合には金融引締めのために利上げを行わざるを得ないことから、FRBとしても打つ手がなくなってしまうことから、パウエル議長の手腕はいよいよここから本格的に試されていくことになりそうです。
ただ、FRBの政策は毎回後手に回ることが多く、失敗の連続といっても過言ではありませんから、学者とは異なる実務派のパウエル議長がどのようにして難しい局面を乗り切っていくのかにも大きな関心が集まりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎
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