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1月12日以来猛烈な上昇を示現してきたユーロドルもドイツの政情の不安定さなどが起因して一旦冷やされることとなり、その後の戻り段階ではさらにEU圏の要人が次々とけん制発言を始めていることから、1.23229を上限として一旦の上昇がとまり、ボリンジャーバンドも横向きの展開になってきています。
確かに短期間でかなり猛烈に上昇しましたから一服感が出てもおかしくはなく、それに連動するような形でドル円の下押しも110円を下回るところまではいかなくなりつつあります。
ただ、今後金融緩和の出口戦略がより鮮明な状況になればユーロの一段高も視野に入ることからここからの動きに注目が集まります。
立て続けの要人けん制発言
ユーロドルが1.23に接近したあたりからユーロ圏の要人がしきりにユーロ高に対するけん制をはじめています。コンスタンシオECB副総裁はＥＣＢのフォワードガイダンス変更は差し迫っていないと発言しておりさらにユーロの上昇はファンダメンタルズに即していないと釘をさしはじめています。
またフランソワ・ビルロ ワ・ドガロー仏中銀総裁も足元のユーロ高は不確実性をもたらすと発言しはじめており、今後ECBは物価に与えるユーロ高の影響を注視するとしています。
オーストリア国立銀行のノボトニー総裁もユーロの為替レートを監視する必要があるとしており、ECBに絡む要人がいきなり示し合わせたようにけん制発言に動き出していることがわかります。
やはり1.23レベルというのはこれまでのユーロ安から見るとかなり居心地の悪いレベルに入ってきているようで、今後もさらにけん制が登場することが予想されます。
とくにドラギECB総裁が口を開くことはかなり市場に影響を与えることになりそうですから、ここからのユーロ買いはより慎重な姿勢が必要になりそうです。
EUが考えるユーロの心地よいレベルとは
過去10年以上にわたるユーロドルの月足推移を見てみますと、緩和が本格的に始まってからは1.2を超える期間というものが非常に短く推移しており、ほとんどが1.2未満の世界を推移していたことが改めて理解できます。
ドイツをはじめとする自動車輸出などには非常に都合のいい時間が長く続いたわけで、本来はユーロ高ならば輸入品物価には都合がいいわけですが、それ以上にユーロ安が欧州圏経済に利益をもたらしていることがわかります。
さすがにテーパリングを始めることになればこれまでのようなユーロ安は望むことはできなくなるものと思われますが、1.3方向に大きく戻ることをかなり嫌気していることははっきりとわかる状況です。
ただし、これまで欧州から米国の金融市場に大量に流れ込んできた資金が、ユーロ圏のテーパリングで金利が回復することによりユーロ圏へと帰還することは十分に考えられ、ECBが考えている以上に大陸間資金移動ということでユーロが買われドルが売られる動きが顕在化する可能性は十分に考えられます。
政治的な問題が随所で登場するため一方向にリニアに動くわけにはいかなりと思われますが、今後ECBの政策実行タイミングにあわせてさらにユーロが買われる時間帯がやってくるものと思われ、そのベストタイミングにいかに乗るかがFX市場では大きなポイントになりそうです。
今年の前半に関してはユーロが市場のテーマとなることはほぼ間違いない状況であり、今後もユーロを注意深く見守ることが必要になりそうです。
足元ではユーロ高、円高、ドル安が進行していますが、ユーロドルのバランスはドル円にも影響を与えることになりますので、ここからの動きは非常に重要になります。
今年のFX市場は明らかに昨年とは異なる動きが顕在化しつるあり、ここまでの売買慣習やレベル感にとらわれない柔軟な売買が必要になってきそうです。
（この記事を書いた人：今市太郎）
