ドル円は感謝祭も通過してここから上昇するのか下落するのかが非常に注目され、国内の個人投資家はかなり下げたところを買い向かうつもりでポジションを積み上げ始めているようです。
確かに下値に買い切り玉がぎっしり並ぶということになると相場は下げなくなりますし、過去の「アノマリー」からFX市場では年末に向けてドル円を買って、それなりに利益を出した経験をもつ個人投資家も多いことでしょうから、111円割れあたりは絶好の買い場ととらえている人たちも多いはずです。
しかしFXの相場はとにかくポジションの傾きに常に注意が必要であり、レベル感だけで方向性を断定してしまうのはかなり危険な売買となることを忘れてはなりません。とくに一方向にポジションが集まり過ぎると少なからず荷もたれが起きて相場が下落しやすくなる点が非常に気になります。
この秋の相場の動きからみるとレベル感的には111円を割れるとすぐに買いたくなりますし、「GPIF」などの後方支援があれば強い味方に感じるわけですが、本当にそういう動きになるかどうかは依然疑心暗鬼の状況です。
ここまで生保がかなり買ってもずるずる下がるドル円
本邦の生保勢が年後半にむけて、どれだけ外債投資のためのドル円買い余力をもっているのかははっきりしませんが、112円割れあたりから買い下がっても相場は一向に持ち上がっていかないというのは、相当ドル円のロングに傾きがある証拠であることを示唆しているといえます。
先週金曜日は感謝祭でお休みであったことから「CME」の「IMM」通貨ポジションは発表されていませんから、投機筋のドル円のほどき売りがどのぐらい出たのかはまだまったくわかりませんが、ほとんどが解消するほど売られたとは思えない状況で、ここから下値が堅くなってもどれだけ上方向を目指せるのかが非常に注目されます。
買い切り玉は当面反対売買はでませんから、上昇したところで一気に売りがでることはないわけですが、個人投資家はあきらかに上昇局面でやれやれ売りを持ち込んできますので、果たして12月後半までにドル円が戻りを試すことになったとしても、どこまで戻れるのかがかなり気になります。
114円はすでにここから3円近い上のレベルですから、そう簡単に値を戻すとも思えず、同様の値幅でいえば108円台や107円台もそう遠い下値ではないことも意識しておくべきでしょう。
米国債債券金利がここから急上昇する可能性はかなり低い
米国の債券金利はどうもここから急激に上昇するとはほとんど思えない状況で、よほど債券を投げなくてはならない状況が示現しないかぎり年末まで横這いを辿りそうな雰囲気になってきています。
株価は米国NYダウが日柄調整的局面で大きく下げるとは思えず、日経平均が多少なりとも上昇に転じればドル円の支援材料にはなりますが、さらなる調整を示唆する市場関係者も少なくありませんから、当面ジグザグのランダム相場を継続しそうでもあり、こちらもあまり期待はできない状況です。
年末やぶれかぶれの居残り投機筋と本邦個人投資家の戦いか
先週の感謝祭前後でも下値はかなり本邦個人投資家が買いを入れており、ある意味で買い支えに大きく貢献しているといえます。
しかし、買いだけのバイアスがかかればまた自律的な下落のリスクは高まりますので、そこに漬け込んで週明けも市場に登場するであろう短期の投機筋が仕掛け売りをしてくると思わぬ下値模索が続く可能性もありそうで、テクニカル的にもどうも下値はまだ探れそうな雰囲気が強まっています。
本邦の個人投資家は年末に向けてひと稼ぎしたいと皆さん思われているので、ポジションも日頃より多くとりにいくことが考えられますが、ここから本当に上昇か一定の下落を経て元に戻るのかは相当吟味することが求められそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)