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今月もまた米国の「雇用統計」の発表がありました。今回の8月雇用統計で非農業部門雇用者数は前月比+15.6万人と、予想+18.0万人を下回る結果となりました。
また伸びは5月来の低水準にとどまっています。さらに7月分も+20.9万人から+18.9万人へ下方修正され、状況は悪化しているようにみえます。失業率は4.4％と、16年ぶり低水準から上昇し、平均時給も前年比+2.5％と、上昇予想に反して7月+2.5％と同水準にとどまる結果となっています。
これを受けてドル円は市場の予想通り売られることとなりましたが、109.500円にはそれなりにまとまった買いが置かれていたようで結局ほどなくして110円にあっという間に戻る展開となってしまいました。
誤差範囲の結果はほとんど市場での意味がない存在に
そもそもNFP・非農業部門雇用者数はすでに完全雇用が達成されている中にあっては、驚くほど伸びることを期待するのが無理であり、市場での金融関係者の予測の平均と比較していいか悪いかを見る事自体がほとんど意味のないものになりつつあります。
また「イエレン議長」が気にしていると言われる平均時給もコンマ数パーセントが0.1上がっても下がっても大勢に影響ある話ではない状況で、これまではFXのお祭り騒ぎとしてそれなりに機能してきた「雇用統計」も、実は個人投資家が参加する妙味はかなり薄れていることを強く感じます。
それでも通常よりはボラティリティがあるのでスキャルには便利
結局どんな結果がでても相場の流れが変わるわけではなくすぐにもとに戻ろうとするわけですから、チャートを見ながら「プライスアクション」にしたがって「スキャルピング」をするのであれば、それなりに利用できる機会としては機能しそうです。
ドル円の場合その後のISMの指標がよかったことからいきなり110.482円まではねる動きになりましたから、底値で買ってそのままポジションをいもっていれば「雇用統計」自体の動きよりもさらに大きな利益を確保することもできたことになります。
こうして見ますと「雇用統計」自体での相場の動きを利用した売買は見送りその後動いたあとの相場に注目して、そこから逆張りでポジションをもって行くといった利用法を考えることも結構役に立ちそうです。
9月FOMCは資産縮小を予定通り決定か
いまだに市場では米国の経済指標の結果を見ては利上げが遅れるといった安易な予測が一人歩きしている状況ですが、「FRB」は銀行を救済して長期金利を上昇させるために資産の縮小は予定通り行うことになるものと思われ、利上げについては様子を見なう可能性も確かに残されそうですが、すでに2月に退任を決めているとみられる「イエレン議長」は意外にも当初予定のとおりに12月に利上げすることも十分に考えられることから、あまり経済指標の結果とは関係ない動きになりそうな気配です。
こうなってくるとますます「雇用統計」の結果は「FRB」の政策決定に影響を与えなくなりそうな状況ですが、9月以降はハリケーンの被害がそのまま反映されることになりそうですから、数字は悪化が予想されます。被害額は東日本大震災を上回るとも言われているだけに、実は北朝鮮からのミサイルの問題よりもはるかにハリケーンの被害の問題のほうが米国内では関心の高い事象になっていることがわかります。
これまでFX市場のお祭りとして機能してきた米国の「雇用統計」ですが、すでに一定の役割を果たした感があり、ほかの経済指標の中のひとつとしてみるにとどめるほうが逆に相場で失敗しないことになりそうで、かなり変化が現れて気いることを改めて感じさせられます。
（この記事を書いた人：今市太郎）
