とくに市場最後の時間帯に登場したドラギは当初の予想どおり何も言及しなかったことから、ユーロドルが大きく買い戻されて1.19を上抜けて週の取引を終えたのが印象的でした。
さて、材料になると思われたジャクソンホールもほとんど参考にならず、北朝鮮からの挑発行動もなく終わった一週間でしたが、果たして来週FX市場がどういう動きになるのかが気になります。
110円から上はかなり重いドル円
25日朝からかなり上昇気味にはじまった東京タイムでは仲値にあわせて相場が上昇し、その後一切下がらないという高値膠着相場を継続させて「イエレン」講演会に臨むこととなりましたが、講演が始まったとたんに下落しはじめ、109円台初頭にまで激しく落ち込む結果となりました。
ただ、FX市場が勝手に期待して勝手に失望しただけのことですから、それ以上の動きにはならず結局109.312円で引ける状況となったわけです。
来週には110円のオプションが解消することから上に抜ける可能性もありますが、正直なところ上申する材料が非常に限られていることから下値も108円台を下抜けない限り、期待できない代わりに上値も大きく上がる可能性は相当低いことが考えられます。
米国の債務上限問題が本格的なリスクになれば動意に変化が現れることも考えられますが、どうも上方向の心配をするのはかなり限られることになりそうです。
「CFTC」が25日発表した22日時点の建玉報告によると、「CME」の通貨先物市場で投機筋のドル円のロングは7万4086枚と前回の7万7492枚から3406枚減少していますが、こちらも思ったほどロングが解消していない状況で、延々と我慢をしている投機筋が存在していることがわかります。
金曜日はかなりドル売りが進みましたが、対ユーロに比べるとドル円は大きく下がらなかったのも印象的でした。
ユーロドルは逆に上がりすぎ
一方やりすぎ感満載となってしまったのがユーロドルで、いったん1.19を上値にかなり調整が進んだはずのユーロドルは今回のドラギ講演を睨んでまた思い切り買いあがる展開となってしまいました。
「CFTC」の発表でもユーロドルのロングは8万7976枚と前回の7万9267枚から8709枚増加しており、ここには出てきませんがなにより個人投資家のロングの枚数が異常に多くなっているのがかなり気になるところです。
この調子ですと一旦1.2ぐらいまでは到達してしまいそうではありますが、果たしてこのまま一本調子で上昇するかどうかは相当疑問になってきています。
材料は多いがどれが本格的にFX相場に影響を与えるかが問題
気がつくと米国の株式市場はことある毎にFX相場が戻る動きとなっており、期待された8月の大幅下落がないままに9月に入ろうとしています。まずこの調整のない相場が9月にずれ込みながら調整するのかどうかを見守りたいとこです。
またトランプ相場のまき戻しのほうが先に起きてしまいますと、ドル円は単純に下がる可能性が高くなり、債券金利の動向とは違う要因で下落するリスクも考えておかなくてはなりません。
9月4日の米国のレイバーディを越えると本格的に秋相場がスタートし「ヘッジファンド」なども猛然と利益を確保するために新たな動きを見せることになりますが、ここで相場が上方向にいくのか下押しするのかを見極めるのも重要になりそうです。
多くの個人投資家がFX相場の方向感を見失っているように、投機筋もここからの動きに対する独自のシナリオがあっているかどうかを模索し始める時期ですから、意外にだれも将来のことはしっかり描けていない時間帯なのかもしれません。
ただ著名投資家のほとんどが米国の株式市場と債券市場に大きな懸念を表明しはじめていますから、何らかの大幅調整が起きることは十分に考えられる状況です。気を抜かずに相場を見守りたい月末です。
(この記事を書いた人:今市太郎)