いよいよ今週は夏真っ盛りということで、FX市場もさすがに閑散とした相場になることが予想されています。
しかしこの日本がお盆にさしかかる時期にはきわめて特別な動きがでるのがFX市場の特徴になっていますので、あらかじめ十分な注意が必要になってくることを理解しておくことが重要です。
メーカーは夏休みに突入
自動車や家電などのメーカーの場合、一部は今週から夏休みをとるケースが増えています。
工場部門はお盆に絡めるところがほとんどですが、事務部門は前倒しにするところもあり各社様々といえますが、輸出メーカーの場合にはこの時期にドル円の上値にリーブオーダーといって売りをおいてお休みに入るところがほとんどになりますので、足元では111.500円から上方向はかなり重たくなることが予想されます。
これは今年の場合21日の月曜日まで続くことが予想される上、これまで113円台以上も買いで入っている投機筋のポジションが延々と保有されていることから、夏休み返上で売買を行なっている一部の短期投機筋もドル円を上方向で仕掛け売買するのはかなり歩が悪くなることから、やはり下押しの仕掛けをしてくることが考えられるのです。
輸入勢はなぜかほとんどリーブオーダーをおかない
この時期輸出勢がリーブオーダーをおくなら輸入勢も同様に下値でリーブオーダーをおくのではないかと誰もが思いつくものですが、まず輸入勢は製造業ではないところがほとんどですから、石油や電気、ガスなどの業界については自動車メーカーのような休みの取り方をしないのが大きな違いです。
さらに過去20年近く円高に直面してきたこうした業界は円高で買い付けができたと思ったら「もっと円高になった」という笑えない経験を常につんできていますから、輸出メーカーのようにリーブオーダーを休みにおく習慣がないともいえるのです。
実はこの事実も海外の投機筋は十分に理解しているからこそ、「下方向の仕掛けが多くなる」ともいえるのです。
日経のオプションSQは10日
今年は11日の金曜日が山の日となることから日経のオプションSQが1日前倒しで10日に実施されることもFXに影響を与えることが予想されます。
だいたい相場が作為的に低く抑えられる場合には、この時期ドル円にも影響が出ることになりますから、ここでも下値を模索するリスクが高まるのです。
日本のお盆休みについては外国人の投機筋もきわめてよく理解していますから、仕掛けを行なう場合には確実に市場参加者がお休みしており、しかも金融機関も同時に休みの11日を狙うことが容易に予想されます。したがって11日から15日まではかなりの注意期間ということができます。
ここ数年でもお盆のお休みに下値試しがある場合には前半の仕掛けが多くなっていますので、やはり今週から相当注意しておくことが必要となります。
過去3年間のドル円8月の値動き
※昨年(2016年のドル円日足チャート) 8/9~8/18まで円高が進んでいます。
※2015年のドル円日足チャート 8/12を天井に円高、その後8/24のチャイナショック
詳しくはこちら ⇒ 2015年8月24日の大暴落とはなんだったのか?
※2014年は円安。2013年4月に黒田バズーカー1、2014年10月に黒田バズカー2ですから、この時期は円安の流れが鮮明でした。
このようにお盆シーズンの場の薄い相場に登場する短期の投機筋は本邦勢の休みの期間中の動きを十分に理解した上で登場してきており、決して思いつきで売買を仕掛けてきているわけではありません。
また彼らだけの力では長く相場を動かしておけるわけではないことも十分に承知していますから、利益がでたところですかさず反対売買に転じることになり、意外に早めに相場がもとに戻すことも認識しておくべきです。
したがって下落についていっても突っ込み売りに注意し、逆に底値では買いのチャンスがあることも意識しながら売買することが肝要になります。
FXにかかわる個人投資家もこのあたりの投機筋の考え方はあらかじめ十分に理解しておきますと、FX相場で一体何が起きているのかをかなり正確に把握することができるようになるのです。
チャートだけ見ていますと上にも下にも行きそうな相場ですが、実は市場参加者の思惑はそれとは異なるところにあるのです。
(この記事を書いた人:今市太郎)