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日本政府は冷凍牛肉の輸入量が超過したことを受けて、セーフガード（緊急輸入制限）を発動すると発表しています。
しかし、オーストラリアとはEPAが締結されていることからもっぱらしわ寄せが行くのは米国ということで、このままトランプ配下の政権内保護主義者がはいそうですかとは言わない可能性が高まっています。
冷凍牛肉のセーフガード発動について、麻生大臣は輸入量が超過した場合に自動的に発動される法律に基づいた措置だとし、政府の裁量ではないと強調しています。
ただし、そんな話がすんなり通用するとはまったく思えず、米国側がなにか仕掛けてくることでドル円がひどく円高に動くリスクには警戒が必要になりそうです。
冷凍牛肉のセーフガード発動が与える影響
輸入冷凍牛肉へのセーフガードは、全世界からの輸入数量とEPA（経済連携協定）税率の適用を受けない輸入数量のいずれもが対前年度同期比117％以上増えた場合に発動され、現行の38.5％から50％へと引き上げられることになります。
日本とEPAを結んでいるオーストラリアからの輸入は対象外となることから、ますますこれが米国を怒らせることは間違いないようです。今回の措置の対象期間は8月1日から2018年3月31日までとなりますが、果たしてどういったクレームがつけられることになるのかが注目されます。
日本サイドはやめればいいのに、改めてTPPへの加入を勧めることにしようとしているようで、事と次第によってはウィルバーロスが激怒しそうな雰囲気が満載になってきています。
おそらく冷凍牛肉のセーフガードを発動するもっと前の段階で、なにか米国にもう少し親切な説明をして一時的な措置を講じるなどの対策が必要だったのでしょうが、妙な学校の開設問題で自身の首がつながるかどうかもよくわからない安倍総理はそんなことに気をとられる暇もなかったのかもしれません。
しかし「法律だから仕方ありません」という説明はトランプの不公平意識に火をつけかねな状況で、いまのところ騒ぎになっていないのが不思議な状況です。
市場が忖度しはじめれば108円台もありえる？
既に夏枯れ相場の中でドル円は110円台の下値を模索し始めており、110円を割れるようになればかなりたまっている円ショートが巻き戻されることから簡単に109円台まで突っ込む可能性もではじめてきています。
それにこの問題が上塗りされることになりますと、この夏休相場は枯れ相場から荒れ相場に早代わりしそうな雰囲気で、再度108円台を試すという嫌な状況が示現する可能性もありそうです。
トランプ自身も夏休をとる予定はあるようなので、揉め事が起きるのはもう少し後になってからなのかも知れませんが、いずれにしても円にとってはなんらよろしい材料でないことは間違いありません。
また9月以降相当FTAの締結で日本はプレッシャーをかけられることになるでしょうし、長期的にドル安を強く求められることになるリスクも高まることから、えらく高くつくセーフガードになりそうです。
ドル円に関してはとにかく戻りがでたら丁寧に売っていくという戦略で、下落を十分視野にいれた売買を心がけたいところです。
ただお盆前は東京タイムでアジア勢が一斉にショートをもつと下がらなくなってショートカバーが出やすくなることにも注意をしプライスアクション次第で、どのレベルから売るかを常に気にしながら売買することが肝要になりそうです。
既に週明けの市場は市場参加者が少なめで薄い動きになってきています。無理して売買する必要はありませんが、ここ一番のチャンスも逃さないように取引していきたいところです。
本日のNYタイムから米国サイドは冷凍牛肉のセーフガードに対して何か不満を爆発させる可能性もあり、さっそく相場が動くことにも十分注意が必要です。
（この記事を書いた人：今市太郎）
