今週はドル安が市場を牽引する一週間となりましたが、週末ドル円はぎりぎり111円を守り抜いて終わり、ユーロドルも1.16台で週の取引を終えています。
ドル円も114.500円レベルから考えると既に3.5円近く下落していますから、ずいぶんと値が下がった感じですが、来週以降も相当値が重たいことが予想されます。
ドル円は異常にロングがたまりすぎ
「CFTC」が21日発表した18日時点の建玉報告によると「CME」の通貨先物市場でいわゆる投機筋のドル円のロングは、12万6919枚と前回の11万2125枚から1万4794枚増加で2014年1月以来のドル円ロングが溜まっていることがわかりました。
18日時点の話ですから少なくとも112円以上のコストで買っているタマがほとんどのはずで、113円台もかなり残っていることでしょうから、これがはけない限りはドル円は簡単には上昇しないことがわかります。
チャート上には「5日移動平均線」を表示していますが、やはりコストは112円台初頭になっていますから、今週値を下げてから112.400円を超えるのが非常に難しかったのもよく理解できるところです。
やはり投機筋も米債の金利が上昇することをかなり想定していたものと思われ、下値を買ってみたらそのまま下抜けてしまったということなのでしょう。
おそらく来週111円を下抜けてしまった場合には110.800円辺りからかなりストップロスがでることが予想され、これが加速すると110円台も前半、あるいは110円台抜けという下落も想定されることになりそうです。
日米金利差からドル円は上昇などというアナリストの見方はまったく当たっておらず、金利差はひとつの要素ではあるものの絶対的要件にはなっていないことを改めて痛感させられます。
多くの投機筋はユーロドルにシフトか
一方「CME」のたて玉明細ではユーロドルのロングが9万1321枚と前回の8万3788枚から7533枚増加しており、明らかに投機筋はユーロドルの上昇を見込んで買いを強めていることがわかります。
ユーロドルはここ2年近く上は1.15を超えるあたりと下は今年1月に1.034をつけておりほぼ1100ポイント程度を上下するだけのレンジ相場を繰り返してきていますから、ここからエネルギーが発散されてほぼ倍返しの「2200PIPS」程度の上昇が考えられると考えますと、1.4にかなり近いところまで相場が上昇することも考えられ、投機筋が一斉にユーロドルに集中し始めているのがよくわかります。
もちろん買いだけが集まりすぎると今度は上昇が覚束なくなる恐ろしい事態も考えられますが、今後なんらかのきっかけで米国の株式市場が大幅下落となってドル円がさらに下値を試すことになれば、ユーロドルがもう一段上に上昇することは十分に考えられることから、売買の方向の整合性という意味ではドル円のロングなどに手を出すよりもかなり間違いのない売買になりそうです。
投機筋の買いもドル円を見ていただければおわかりのとおり結構はずして損を出しているわけですからどこまで当たるかはよくわかりませんが、「2000PIPS」獲得できるかどうかは別としても少なくともここから1.25あたりまでの上昇は期待してもよさそうな雰囲気になってきています。
ジャクソンホールでの「ドラギ総裁」講演でなんらかの出口戦略が語られることになれば、8月中に一段高も予想されることになりますから、この夏から年末にかけてはかなり大きな利益を見込むこともできそうです。
なんとも変わり身の早い為替相場ですが、ここからはますます夏枯れで動かない相場になりそうですから、かなり持久戦で取り組む姿勢が重要になってきそうです。ユーロドルは一方的には上昇しないで徐々に上値を試すことも予想されますから、あわてて買わずに押し目を待つ姿勢も重要になりそうです。
欧州の債券相場は非常に 「ECB」の出口戦略に敏感ですから債券金利が上昇しはじめますと低迷中の米国の債券市場とのコントラストが明確になりさらに ユーロが上昇することも考えられそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)