7月第一週、「ECB」がとにかく出口戦略に向かうのではないかとの憶測から欧州の債券金利が上昇しそれにつられるように米国の10年債利回りが上昇しはじめています。
実際「ECB」がこの程度の景気回復で完全に「マイナス金利」を撤回できるものなのかどうかはよくわかりませんが、「FOMC」以降まったく上昇しなかった米国債券金利はいよいよ上方向に突き上げはじめているようで、債券買いで強気な動きを継続していた「ヘッジファンド」勢がいよいよポジションの解消を急ぎ始めていることから、どうやらドル円は114円台を抜けて上昇してしまう可能性がかなり高まっているようです。
ボチボチファンドの総投げがはじまる利率レベル
Data CME
毎度おなじみの「CFTC」における投機筋の大口投機玉の買い越しポジションと価格推移をじっくり観察してみますと金利の上昇とともに買い玉がだんだん減少し始めておりある水準を超えると一気に総投げに転じる瞬間があることがよく理解できます。
どうも2.4%程度を超えてくると債券価格的にファンドが保有してはいられないゾーンに突入するようで、いよいよそのぶん投げ祭りが近づいている状況になってきているようです。
Data Bloomberg
米10年債はすでに50日、200日移動平均線を突破しており2.92%まで上昇してきていますので、10年債が年内に3%に向けて再上昇するのはもはや時間の問題になりつつあり、イールドカーブがフラット化することによる相場暴落リスクもさることながら株式相場が3%金利に耐えられなくなって大幅下落する可能性のほうが先にやってくるリスクも高くなりそうです。
夏の相場暴落シナリオはこういうことか?
さて、こうなるとこの夏以降かなり危ない感じの米国の株式相場暴落のシナリオがおぼろげながら見えてくることになります。まず米国10年債金利の上昇を受けてドル円は予想外にこのまま上昇することが考えられます。
前回3月に米国10年債が2.6%台に上昇したときのドル円のレートは113円程度ですから足元ではこのレベルを大きく超えてしまっていますので、むしろ昨年末に2.6%に超接近したタイミングの118円レベルまでまさかの大戻しがあるのかもしれなくなってきています。
ここから意味もなく4円も上がるの?という感じで個人的にはドル円がそこまで戻る前にトランプに何か言われて頭を抑えられるのではないかと思っていましたが、どうも金利の動きだけ考えればこうした戻りを試す可能性は否定できない状況です。
とくにファンド勢が頭にきて保有債券を一斉に投げる動きがでれば、こうしたドル円の驚くべき上昇も十分にありえそうです。ただ、この夏ドル円が最高値をとるとはさすがに想定できない状況です。
ただし、そのあとにお待ちかねなのは米国株式相場の暴落で、ここに合わせてどこでドル円をひっくり返して大幅下落をいただくかが最大のポイントとなります。
飛び込み台が高ければ落ち込み幅も大きい?
どこまでドル円が戻すのかは正直なところよくわかりませんが、仮に115円を超えるところまでするする戻したとした場合、株価の暴落で10円以上の下落が出るのは不思議なことではありませんから、100円に近いところまで大きく下げる可能性は十分にありそうです。
ここから超短期で10円以上抜けることができきれば「BREXIT」の暴落に匹敵するおいしい相場になりますので、いよいよ売り場を常に狙ってポジションをもつことが重要になりそうです。
債券で損をする投機筋は他でリカバーしようとしますから、ドル円相場を一気に下げるために挙って債券を投げるタイミングを見計らう可能性も否定できません。
巷はいよいよ夏休みシーズン到来ということになりますが、為替相場はこれからが大きな稼ぎ時を迎えることになりそうで、早めに鰻でも食べて英気を養いたいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)