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国内で生活していますとまったく知る機会がないのがイスラム教とその信者の生活になりますが、イスラム教徒には断食の期間が設けられています。それをラマダンと呼んでいますが、今年のラマダンは5月26日から6月24日までとなりました。
つまり今年については無事終了ということになったわけです。このラマダンはここでご紹介しているようにイスラム教徒の断食を意味して使われることが多いですが、正確には「イスラム暦第9月」の名称のことをいいます。つまり暦の名称で別に断食のことを示した言葉ではないのです。
え？5月末からなのにもう9月なの？と思われる方も多いと思いますが、彼らの暦はキリスト教主体でできたものとは大きくことなるものといえるのです。
西暦610年に神から預言者ムハンマドに対してコーランの啓示が下されたのがこのラマダンで、イスラム教徒にとっては非常に特別な意味を持つ月と考えられています。
このラマダンの期間中は世界中のイスラム教徒は夜明けから日没まで「断食（サウム）」を行うことで信仰を深めます。一ヶ月も断食をするのかとびっくりされるかたも多いと思いますが、実は昼間だけの話で、日が暮れてからは食事は許されているようです。
このラマダンですが、実はラマダンに原油価格が下がるという「アノマリー」があるようなのです。
確かにこの時期原油は下がる
株や為替とラマダンの関係はほとんど見つからないようですが、原油価格についてはこの時期に下落する傾向が顕著なようです。過去20年間ぐらいを調べてみましてもイスラム暦9月、つまりラマダンの時期には必ず価格が下落するようです。
なぜラマダンだと原油価格が下がるのかという明確な関係はいまだに見つかっていません。だからこそ「アノマリー」と呼べるわけですが、我々のわからないところで長年なんらかの影響がでていたことはどうやら間違いないようです。
ただし、「OPEC」の加盟国の原油に対する影響が落ちていることもあり、米国の「シェールガス」などのシェアが今後さらに増えることになれば、こうした「アノマリー」も原油価格にはまったく関係なくなる可能性は大いにありそうな状況です。
すでに今年のラマダンは終了していますから原油価格はここから持ち直すのかというのが気になりますが、3ヶ月後の9月になるとまたしても下落の「アノマリー」が顕著になるようで、しかも例年ラマダンの時期よりも9月の時期のほうが大きく下がることが確認されていますので、この「アノマリー」だけを信じればまだまだ原油価格は落ち着かない可能性が残ります。
原油価格は株価とドル円に即影響がでる材料
世界的に減産をしてもこれだけ原油が余る時代がやってくることになるとは夢にも思いませんでしたが、「OPEC」という組織はほとんどガバナンスのないものになってしまったようで価格の調整はほとんどできない状況になってきているようです。
さらにそこに米国やカナダの産出量が増えていることから、もはや「OPEC」だけでは価格調整力はなくなっている状況のようで、今後の相場展開が気になります。
この原油価格は即効的に株価とドル円の相場に影響を及ぼすだけに価格の下落は円高の大きな要因となってしまいますが、さらに物価を引き下げる要因にもなるためかなり注意が必要になってきます。
ラマダンとの関係から行けばここからの原油価格は上昇が期待されるところですが、まだまだ下落の可能性は残っており、夏場に下落が進むということになると予想外の円高や株安が進行するリスクも高まることになります。
（この記事を書いた人：今市太郎）
