特に「FOMC」の後の2日間は妙にドル円が上昇することとなりましたが、16日はまたしても弱い経済指標のおかげでドル円は下落に転じてしまい、買い持ちしていても、売り持ちしていても大して儲からない不可解な相場展開となってきています。
ややもすれば投げと踏みの応酬で誰も儲かっていないようにもみえる微妙な相場です。とくに来週にかけては大きな指標もないことからこうした動きがどのような形になるのかが非常に注目されます。
とにかく思い込みは一旦排除して、相場のうごきをよくチェックしながら用心深く売買を進めていくことが重要になりそうです。
木曜日に必要以上に上げたドル円がすべてを不可解にしている状況
まず今週後半の動きを再度振り返ってみますと、木曜日「BOE」の政策決定会合を受けて上申したポンド円につられてドル円は大きく上昇することとなり、100.300円当たりを超えてからは経済指標がよかったのを受けて東京タイムに溜まりに溜まったショートが完全にあぶりだされる形となってさらに上昇して111円一歩手前まで値を上げる形となりました。
そして翌日の16日の東京タイムでは「ショートカバー」の際に売りあがって新たにできたショートが大量にできたことからまったく下がらなくなり111円台を上昇して同日の夜8時には111.409円をつけるところまでじり高が進みました。
この日111円台を一度も割れることがなかったドル円ですからこのまま上値を試すのかと思われましたが、NYタイムに発表された経済指標がまたも悪く110.643円まで下落しています。
ただ、まだ下値にはショートがかなり残っているようで16日も110.643円以下には下がらずに110円台後半に戻しています。
週明け再度上を試すのか下方向に押すかが大きな問題ですが、まだドル円は下落すると想定している市場参加者が多いようでショートが残っていると大きく下がりませんから、だれも望んでいないにも関わらず上方向に再度持ち上げられるリスクも残ります。
ショートが溜まるから下げないだけで上値を追うのかどうかは不明
「FOMC」後の米国の株式市場もそうですが、利上げ、「バランスシート」の縮小が現実のものになったのに関わらず、ほとんど相場はどこ吹く風の状態で影響がまったく現れていない状態です。
ドル円もそれに順ずるような動きをしており、多くの市場参加者が下落するのではないかと考えたことから、ショートが溜まりすぎては「ショートカバー」で上方向に持ち上げられるの繰り返しを行っているだけのような状況で、積極的に上値を買おうとしているのが一部の市場参加者だけのようにも見えます。
ただ、このショートがはけないかぎりそう簡単には下値を再度試す動きにもならななそうで、足元の相場は妙に難しいものになりつつあります。
方向感がでるまではもう少し時間がかかる可能性も
ドル円は状況次第ではさらに上方向を目指す可能性もあり予断を許さない状況といえます。
米国の「NASDAQ」はかなり調整が始まっていますが、NYダウのほうは金融株が買われ始めたりしており、この夏にトランプ政権がボルカールールの改訂と減税を決めることでさらに今の相場が続くと見ているファンドも登場しているようです。
すでに「NASDAQ」の値がさIT株を売り抜けて静観をる向きと動きは二分しはじめているようで、なかなか相場の見立てが難しくなりつつあります。
恐らく利上げと資産縮小の影響はこの先明確に市場にでてくることが予想されますが、いまからショートで待ち続けるのはちょっと難しそうな状況で、あくまで相場のうごきを見計らいながらどこで戻り売りをするかを考える必要がありそうです。
市場参加者の多くが同じ方向を向いてしまうと為替はかなり想定外のうごきを示現してしまうことがあり、それがまさに足元の相場状況になっているように思われます。
(この記事を書いた人:今市太郎)