週明けの東京タイム、ドル円は前週の「雇用統計」の数字悪化を嫌気して110.500円も下抜けて週末の取引を終えたことから週明けも上値が重く110.600円にすらなかなか戻れない状況が続いています。
恐らく110円台後半にはまだかなりのロングがしこっていると思われることから、ここから111円台に戻すのは至難の技に見える状況です。ただ110円には年金などの本邦勢がずらりと買いを並べているという情報が飛び交っており、簡単には下がらないという見方が強まっています。
しかし過去の事例を見ますとこうした岩盤の買い情報ほどあてにならないものはなく、確かにある時点でリーブオーダーがあったとしてもいつも間にやら引いている可能性があることからあまり過信しないほうがいい状況です。
8日のコミー証言で簡単に110円を下抜ける可能性も
確かに現状ではあまり突っ込み売りをしてしまうと引っかかりそうな気配が濃厚ではありますが、一方で買いあがる材料もほとんど見あたらず、8日の日本時間午後11時から予定されている米国上院でのコミー長官の証言の内容次第では簡単に110円を下抜ける可能性もでてきています。
なにより年金をはじめとする本邦勢の岩盤買いがある瞬間に引いている可能性があることから、あっさりフランス大統領選の第一回投票で作った窓を埋めにいくことも考えられます。
たしかに相場が下落方向を向いているときに、「為替介入」でもない年金や機関投資家がバカみたいにそのまま買いオーダーを入れておくかといわれればさすがにそこまではしないことが多く、110円は買い向かうと思っていると大きく下げて投げさせられるリスクを十分に考えておく必要がありそうです。
上のチャートをご覧いただいてもわかるとおり4月17日北朝鮮情勢が悪化した際も市場には110円レベルに本邦勢の買いがずらりと並んでいるといった噂が流れましたが、蓋を開いてみればあっさりこのレベルを下抜けして108円台にまで押し込まれたのは記憶に新しいところです。
コミー証言で下げて翌朝英国保守党が敗北すればさらに下落も
ここからはどこまで行ってもたらればの話になりますが、「ECB理事会」がほとんど無風で同日の午後11時からのコミー証言で激震が走り、ドル円があっさり109円方向に抜けると翌日の英国の総選挙次第ではさらに下押しに拍車がかかかる可能性が高まります。
週明けからのドル円の動きをみていますと、どうもなにか悪いネタが登場するのではないかと市場がかなり心配しているようにも見え、しかもポンド起因でクロス円が下押しすることになれば、ドル円もかなり巻き込まれて下落するリスクが高まることになりそうです。
そもそも米国10年債金利はとうとう2.2%さえも割り込む低空飛行を続けており、まったく利上げに合わせて上昇しそうな雰囲気が感じられません。
ショートが溜まればもちろん「ショートカバー」を気にする必要はありますが、現状のロングもすべて切れていない状況下では簡単に「ショートカバー」がでるとも思えず、むしろ下落時に損切りがでれば下値をさらに模索する動きのほうが強まりそうな印象もあります。
とにかくここからはドル円は大きく戻したら一度は売ってみて様子を見るという戦法で臨みたいと思います。あまり無理をして突っ込み売りをする必要はありませんが、上のほうのポジションで売り仕掛けをするなら結構粘ってみると意外な利益を確保できる機会も登場しそうです。
政治ネタは為替の売買も難しいですが、いくらトランプ本人が気にしていないといっても市場が嫌気する内容が次々出てくればそれなりの相場の反応は必ず示現することになりますので、利益がでたらさくさくリカクしてひっぱらずに利益を積み上げていきたい週になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)