経済指標が今ひとつぱっとしない米国市場ではドル円がさらに売り込まれ、「ロンドンフィックス」に合わせて瞬間的に110.500円を割り込む状況となりました。ただ、そこから大きく走ることもなく、ここからのドル円相場がどこまで下押しを試しに行くかが今週の注目点となりそうです。
月末需給で瞬間的に跳ね上がる場面も
31日月末となる東京タイムでは突発的な需給があったのかドル円は大きく跳ね上がる瞬間も見られましたが、結局111円台の滞空時間はきわめて短く、NYタイムからはすっかり110円台に定着した動きとなってしまいました。
ザラ場では米国の10年もの国債の金利が2.2%を割り込む勢いで、どうにも金利の上昇が見込めない状況です。確かに「FRB」の金融政策で短期金利についてはそれなりの操作が可能になりますが、長期金利に関しては「中央銀行」があれこれ操作できるものではありませんから、あくまで市場の判断次第の状況となります。
そういう意味では債券相場は米国経済の先行きに明るい見通しをもっていないことだけは間違いないようで、6月「FOMC」での利上げ後も同様の状況が続けば米国の株式市場に応分の影響がでることが危惧されます。
「FRB」による利上げは毎回0.25%程度ですからほとんど市場に影響なしという見方もありますが、実際にはクルマも不動産もその販売に急激にブレーキがかかりつつあることは間違いありません。
さらに年末に向けて「FRB」が「バランスシート」の縮小に動けばこれまでのような過剰流動性市場が大きく後退することは間違いなく、楽観視する余地はなくなる市場が示現するのは間違いないのではないでしょうか。
「FOMC」まではちょうど2週間ありますが、ここからドル円がどこまで下押しするのかが非常に注目されるところです。すでに6月利上げは完全に織り込み済みですから、週末の「雇用統計」の数字が多少悪くてももはや利上げを食い止める材料にはならない状況です。
ロシアゲートの材料がでてこない
今週注目されたコミー前FBI長官の議会証言の話などのネタが、全く登場しないことも相場の不透明感を高める結果になっています。
いつ飛び出すか判らない状況だけにドル円はなんともロングが取りにくい状況ですが、結局こうした状況がドル円を押し下げる要因にもなっているようで、妙な重しとして働いていることは間違いありません。
さすがにこちらの問題は何時どうやってということが全く想定できないだけに、少なくともほかのイベントと重なり合わないように願うばかりの状況となっています。
ドル円110円割れにはなにかさらなる材料が必要
ドル円は110円割れを試しにいきそうな感じになってきていますが、さすがにここからの下落にはもうひとつ新しい材料が必要で、それがトランプの「ロシアゲート」なのか「地政学リスク」なのかは判りませんが、このまま下値を試しても一旦110円で強く止められそうな気配となっています。
ただ、下値で買い意欲を見せている本邦の実需筋と為替ヘッジを入れていないといわれる機関投資家の買いが果たしてどこまで続くかはかなり不透明であり、簡単に下抜ける可能性も十分にあることだけは意識しておかなくてはなりません。
まずは110.200円がサポートするかですし110円ちょうども心理的な節目になると思われます。その下はフランス大統領選の第一回投票後に開いた窓を埋める動きから109.500円レベルまでの下落となりそうです。
さらにその下となると108円レベルまで大きなサポートは見当たりませんが、今の材料だけでそこまで押すかどうかは不透明です。
チャートを見ていますと突っ込み売りするとなんとなく捕まって踏み上げられそうな動きも見受けられますので、ぎりぎりのところで売りに加わるよりはしっかり戻り売りから下落を待つほうが安心です。110円割れは買い場となることも意識して対応していきたいレベルでもあります。
(この記事を書いた人:今市太郎)