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通常の「G７」などというのは、実に上っ面だけの会議で毎回各国の名産品でも食べるだけの会議のような緊張感のないものという認識が強かったわけですが、トランプがやおら登場したことでその内容はどうやら一変してしまったようです。
一応声明は出せたものの中身は大もめ
今回議長国となったイタリアのジェンティローニ首相は27日、サミット閉幕後の記者会見で大変な議論があったとその内実を明かしており、通常の「G７」と違い、発登場したトランプにかなり会議が翻弄されたことを明かしています。
首脳間で激しいやりとりとなったのは、貿易問題と地球温暖化対策で、まったく話は平行線を辿ったようで、事務方が夜通しで首脳宣言の文言調整を進める予定だったものの各国への説得工作は難航。
閉幕直前の2日目の昼ごろにようやくまとまることとなったようで、米国と他国との溝の深さが改めて浮き彫りになったのが印象的でした。
欧州首脳陣からは米国の保護主義的な措置は貿易拡大を阻害するとかなり手厳しい批判が登場したようですが、トランプは米国の関税が低いなら他国もそれに準ずるべきであると応酬し、関税の引き下げを要求し、米製品に高関税を課すなら、米国も対抗措置で関税を引き上げると訴え、米国の輸出産業を守る姿勢を前面にかかげ、まるでけんか腰のトランプ節を大いに吹かせる結果となったようです。
見方によってはすっかりトランプのペースに乗せられてしまった「G７」だったようで、安倍首相も率直な意見交換があったが、一致できたなどとトランプの腰ぎんちゃくならではの歯切れの悪い発言をしていましたが、内実は声明がなんとか出せただけでなんら議論が収まったわけではないこをと示唆した状況となっています。
トランプの名指しドイツ批判は大波紋
さらに傑作なのはトランプが巨額の対米貿易黒字を抱えるドイツを「ろくでもない」と批判したことで、独誌シュピーゲルは２５日、イタリアでの先進７カ国（G７）首脳会議（サミット）に参加するトランプ氏が同日、訪問先のブリュッセルでトゥスク欧州連合（ＥＵ）大統領らと会談した際、ドイツの対米自動車輸出を問題視し、名指しで不満をぶちまけたと報じています。
会談に同席したユンケル欧州委員長は「トランプ氏は攻撃的ではなかった」と火消しに回っていますし、コーン国家経済会議（NEC）委員長も「トランプ大統領はドイツの（対米）貿易はとんでもないと発言したが、ドイツに問題があるとは言っていない」などと微妙な発言をして批判をかわそうとしています。
メルケルも先週事前に「ユーロは安すぎる」といった発言をして貿易黒字の拡大がユーロのせいで自国のせいではない旨を強調しましたが、そういった話だけでは非難を免れない状況に追い詰められていることがわかります。
ロシアゲート叩きが強まれば対外貿易問題追求で応酬する可能性も
米国内ではロシアゲート問題がさらに不透明感を増しつつあるようですが、「G７」に登場したトランプは何処吹く風で、今後このロシアゲート問題が厳しく追求されれば政権の矛先はドイツや日本に向けられる可能性が高く、為替の世界で言えばドル円はトランプの政策の内容からドル高になるなどと思っているとかなり厳しいけん制を受けるリスクが高まりつつあるようです。
ドイツがここまで明確に名指しされている状況を考えれば日本が叩かれるのも時間の問題であり、果たして米国政府がドル円についてどこまでドル高を容認するのかが問題になりそうです。
直近では115円から上方向には簡単に上昇しなさそうな感じではありますが、ドル円相場は政治的にかなり難しいところにさしかかってきており、安易に上昇を期待しないほうがどうもよさそうな状況です。
（この記事を書いた人：今市太郎）
