米国の景気はFRBメンバーが楽観視するより悪い

米商務省が12日発表した4月の小売売上高（速報値、季節調整済み）は前月比0.4％増の4749億4800万ドル（約54兆円）となりました。

前年同月比は4.5％増ですから今年は明らかに伸びが鈍化しているわけで、確かに2月に前年比マイナスに転じたのにくらべれば多少は回復感が見られますが、ここからどんどんよくなるかどうかはかなり怪しい状況です。

7のつく年は相場が大きく下落するリスクが高まるという話はこのコラムでも取り上げていますが、「イエレン議長」は2004年から10年までサンフランシスコ連銀の総裁を勤めていますが、ちょうどこのときにサブプライム問題と「リーマンショック」が起きた訳です。

当時イエレン総裁は景気の様子が変わってきたのを意に介さず金利の引き締めを口にしていましたが結局何が起きたかはご存知のとおりで、学者出身の連銀総裁というのは市場に対する目利き感が大してあるわけではなないのは過去の行状からもかなりはっきりしており、このままどんどん利上げを進めた場合、かなりこまった状況に陥りそうな状況です。

しかし市場はそんなことはほとんどお構いなしでNYダウは値下がりこそしていますが、高値で推移を続けています。すでに「CME」のFed Watchでは6月の利上げ確率78.5％となっていますから、もはや利上げはせざるを得ない状況で、市場のコンセンサスを重視するイエレン議長が6月利上げするのは完全に織り込まれているといえます。

一旦調整色を強めても再上昇しそうなドル円

足元の「VIX指数」があらわしているように、直近の相場はすっかり大きなテーマを失っていますが、かといってここから異常に売り込まれるほどの状況でもなく、どうもドル円の為替市場では下値になれば買いたい向きがまだまだ存在していることから買いあがるかどうかは別としてもまた相場を盛り返してくる可能性が高まりつつあります。

実際問題12日のNYタイムの終盤かなり売り込まれたもののなんとか113円台をキープして週の取引を終了しており、週明けも一定の買戻しが期待できそうです。

どこまでこの楽観相場についていくかが大きな問題

今のところ5月一杯ぐらいまではドル円も上昇過程を辿りそうではありますが、米国ダウも頭打ち状態ですし、日経平均もかなりいいところまでやっている状況ですから、ここからはドル円も上昇一辺倒とは行かなさそうです。

ただしここへきてユーロが盛り返しを見せていることからユーロ円などのクロス円がドル円を押し上げてくれる可能性も残されており、ドル円に影響を与えそうな通貨ペアの動きもにらみながらどこまで上昇についていくかの様子をみる取引をすることになりそうです。

今週実際に取引をしてみますと、こまかな相場のプライスアクションがかなり先行きの参考になっており、たとえば、114円台の30銭を超えたあたりは何度上値トライをしようとしても伸びないとなればやはり相場が下落していますから、丹念にプライスアクションを見続けていくことがデイトレレベルで成功を得ることになりそうです。

一方的に上昇するとか下落するとかを決め込んで売買するよりもその都度の相場状況に合わせて、あまり思い込みをもたずに相場についていく柔軟性が利益獲得の鍵となりそうです。

（この記事を書いた人：今市太郎）