新年度に入り、株高、円安と騒ぐ方が非常に多いのですが、例年、新年度、早々から株価や円安が見込めるときには、国内の選挙があるときです。
この私のコラムを読んでいる方は承知していると思いますが、新年度に入って、統一地方選挙や国政選挙がある場合は株価、円安の続伸の可能性はあります。
しかし、今年は大きいものはないようです。むしろ、ヨーロッパの選挙がリスクといわれているくらいです。 今回は、なぜ、新年度、早々、円高が進行するか?のお話しをしてまいりたいと思います。
アナリストが円安を言う理由
アナリストが目先は円安が進行する可能性が高いというのには理由があります。それは下記の米国10年債のチャートが根拠になります。
ご覧のように、今年に入ってから、価格125近辺で頭を叩かれており、今回も、この頭を叩かれると見ているからになります。
わかりにくい人のために少し、説明するのであれば、今のドル円相場は、アメリカの10年金利に左右されている傾向があり、この10年物国債が上昇した場合は円高、下落した場合は円安に現在では振れる傾向が強いのです。
すなわち、アナリスト諸氏のいい分は、このアメリカ10年物国債の価格が再び、下落するという見方だから、円安と騒いでいるのです。 しかし、1.2.3月に頭を叩かれたのは事実ですが、上値は切り上げています。
そして、去年12月と今年3月の安値はW底になっており、1-3月の頭は、三尊天井崩れとみることもできます。この場合、通常、選択するのは大きいスパンで出来た形をチョイスするのが当たり前ですのでむしろ、アメリカ債券価格は底を打って出直りとみるのが普通だと個人的には思います。
つまり、10年物国債は、底を打って、出直り、つまり高値を目指す動きになると思われますので、たぶん、円高でしょう。
北朝鮮リスクは本物か?
今朝になってようやく、マスコミも北朝鮮リスクの顕在化を「ようやく」気付いてきました。マスコミというのは、基本的には事実を伝えておりますが点と点を結ぶ能力に欠如していると思います。
今回の場合は、トランプさんが北朝鮮への先制攻撃発言に端を欲しており、と駐韓大使の帰任というのはつながっていると見るべきでしょう。つまり、世界は北朝鮮リスクに目を向けており、その場合、日本が巻き込まれた場合には、経済停滞は必至の情勢です。株価も円安も見込めないと思います。
それを裏付ける形でニューヨーク「金」の日足が下記になります。
アメリカ経済が好調であるということはドルの信認が高まっており、その上、テーパリングの懸念もあります。つまり「FRB」の財政拡大から縮小に向かうときに、金価格の上昇というのは考えられないことであり、では、何が原因か?と考えた場合には、シリア問題もありますが、やはり、北朝鮮が国際的な問題となりえるでしょう。
参考までに新大統領はイエメンでもサウジの要請を受けて、軍事作戦を敢行しており、その結果は惨憺な結果ですので、発表をしていません。つまり、トランプさんは自身の支持や信任を取り付けるために、戦争をやりたがっているということを忘れてはなりません。戦争の懸念があるときにはとりあえず、金を買うのは経済の常道です。
まだ、データ的な確証は得られていないが・・・
アメリカ経済は好調ですが、3月に「FRB」の「政策金利」を引き上げたことによって、誘導目標を0.75-1パーセントにしています。この1パーセントというのは、アメリカ経済からすれば、心理的な圧迫要因になると思います。
国内の市場金利はほとんど上昇していませんが、ドル建てでお金を借りている国家、企業にとっては深刻な問題です。ドルが上昇している上に、金利も上昇、そうなれば、返済の懸念も出てくる可能性もあります。
つまり、3回目の利上げも無事通過なんてこともあり得ることはないと、経験上思います。
今週は「雇用統計」がありますが、予想の数字も低めです。そして、例年この時期のアメリカは新規の設備投資が減る傾向にあり、設備投資が減れば、人件費を上昇させるようなこともありません。
アメリカの金利上昇から世界の借金返済の滞り、そして、北朝鮮リスクから6月利上げなんてあり得ない、そして、円安、株高など幻想にすぎないであろうと思います。
(この記事を書いた人:角野 實)