また「
ECB」が利上げに動くのではないかといった観測から、ユーロドルも買われる動きになったものの週末は大きく反落して終わっており、順張りでなんらかのポジションをもっていた人間はほとんどがストップロスに巻き込まれるという悲しい結果に終わってしまいました。
ストップロスをつけて高騰したり大幅下落したりする相場の典型
為替相場を見ていますと、なにかをきっかけにしていきなり相場が暴騰したり暴落したりするケースがありますが、今回のドル円などの動きは暴落、暴騰というほどの価格変動ではないものの、113円台を切れたところから次々と「ストップロス」を誘発してしまいポジションがなくなってスクエアになってしまうと、そこからは動かず低位で横展開しておしまいという典型的な動きになってしまっています。
もちろん初動では誰かが売っているからこうした動きになるのですが、爆弾の火薬と同じで最初に下げる動きを作ればそこからはストップロスをつけて下げた相場がさらにその下のストップロスをつけにいく動きとなり、ほとんど売りで下落したというよりは損切りがついてしまって大きく下落するというパターンになってしまいます。
一定の下値に買いがあればそこからは下がらなくなりますが、積極的な買いがでるわけでもないので、次なるテーマが明確になるまでは大きく買い上がらない状態に陥ってしまうというわけです。
米国10年債にも大量の売りに買い戻しがではじめている模様
ドル円の上昇を阻むものとして米国10年債の金利が上昇しなくなってしまったことも上げられます。
「
CME」の建て玉明細を見ていますと依然としてこの10年債の売りが史上最大規模に膨れ上がっていますが、「
FOMC」の結果を受けてここに買い戻しが入りはじめており、一定の売りが解消しないことには金利も上がらなくなっているという奇妙な状況がはじまっているようです。
こうなるとまだ金利は下がる可能性があり、そこからやっと本来の反転が始まることになるのでしょう。
「
政策金利」の上昇と相場の動きが必ずしも連動しないのはこうしたことが背景にあるからで、やはり金融市場というのは難しいものであることをあらためて感じさせられます。
市場はドル高に対する疑心暗鬼がくすぶる状況
トランプ大統領の政策は実現すれば確かにドル高になりやすいことは事実ですが、依然として各政府機関の局長級の人事でも人が決まっていないなど、ある意味で行政を執行するのに必要十分な条件が揃わないまま春を迎えようとしているわけですから、なんとなくトランプ政権に対する不安と、ドル高にはならないのではないかとする市場参加者の意識が相場に表れている気がしてなりません。
一定のイベントを消化して4月のフランスの選挙までは大きな動きが出にくい状況となりますが、次の市場のテーマがはっきりするまでは今の「レンジ相場」が継続することになるのかも知れません。
とはいえ、ここから下値でショートを振りかざしても大きく下落するとも思えず、せいぜい111.500円でまた止められる可能性を考えますと、売り向かい一辺倒と言う形にもならないのが実情です。
あまりにも同時に材料が出尽くしてしまいますとこうした相場になりがちですが、月末を控えて特殊なドル買い需要がでることもあるため依然として注意は必要になります。
下攻めをして攻めきれないとなると今度は一転して上値追いに変わることもありうるのがレンジ相場の特徴ですから常に「プライスアクション」を見ておくことが重要になりそうです。
ドル円はまだ完全にロングの投げが終わっていない可能性もあり、113円台が今度はかなり重くなってまた反落する動きになるリスクに注意していきたいところです。