ドル円は9日の「ECB理事会」を受けて結局本日の「雇用統計」の結果を待たずに115円を突き抜けてしまいました。確かに115円ジャストにはオプションも観測されていたようですが、これまでのように大量には残っていなかったようで「バニラオプション」主体ですと抜けることもありうる状況ということができます。
しかしこれで115円を突破したことで完全に上方向に走ることになったのかというとさすがにそこには大きな疑問が感じられます。一目均衡表の雲のねじれの結果がどうなるのかはもう少し様子を見ることが必要な状況です。
ここまで買い上げてきた投機筋には絶好の売り場到来
レンジ相場のひとつの特徴として、投機筋が主体で相場を動かすことが多いため、大きな反対売買がでると相場の流れが一気に変わることが上げれれます。
まさにレンジ相場が示現する理由ともいえるものですが、機関投資家が登場してトレンドが形成されれば本来はいきなり下落することなどありえないものですが、投機筋は買ったらその分はどこかで必ず売りますから相場が反転するのは当たり前の話で、これは個人投資家もそれに順ずる存在ということがいえます。
今回111円台から115円台を突破するまでの動きは完全に投機筋の演出によるものですから、来週の「FOMC」を待たずに「雇用統計」を利用して値を上げようと画策しているのは間違いありませんから、ここから上の相場では想像以上に売りを出してくる連中が増えることにはかなり注意が必要になりそうです。
FOMC以降の相場はかなり不透明
ここのところ大きなイベントを通過してしまいますと相場がぱったり動かなくなるというなかなか厳しい状況に追い込まれることが多くなりますが、「FOMC」の利上げ以降のドル円相場も同様でここからは米国10年債利回りの動きに注目しながら売買をしていくことが必要になりそうです。
足もとではすでに2.6%超まで上昇を始めている「国債金利」ですが、ここからどのような動きをしていくことになるかで株も為替も相当な影響を受けることになりそうで、ドル円の売買に債券金利はかかせない情報になってきそうです。
年度末は為替も比較的落ち着いた動きをすることが多くなりますので、ここから先はまた大きな動きのないレンジ相場状態が継続して、年度末を迎えることになるのかもしれません。
トランプ相場第二弾を年明けに期待していた向きにとってはちょっと期待はずれな動きになってしまったかもしれませんが、利上げの結果を見るのはまだこれからであり、利上げ後の株式、債券相場の動き次第で為替にも大きな影響がでることには注意しなくてはなりません。
ガンドラックは根脳に米国債上昇で相場下落を予想
新債券の帝王の異名をとる「ジェフリー・ガンドラック」は、7日に実施されたウエッブキャストに登場し、「FRB」により伝統的な利上げパターンが始まると予測をしています。
同氏によれば、米国債10年もの利回りは一旦2.25%を下回る水準に下落し、その後はやはり3%に向かって上昇すると予測しており、さらに株式相場はこうした動きを受けて年央までに利回りが上昇をはじめ、それに呼応する形で屈する形になるとして、暗に下落を仄めかしています。
果たして同氏が予測するように年央まで株価が崩れずに移項するのか、より前倒しで様子がおかしくなるのかはまだ決定的な判断がつかない状況ですが、株が崩れなければ当面の間はドル円も比較的順調に推移する可能性が残されており、早計な判断はできない状況です。
ここへ来て欧州の選挙は一時的にリスクが低下しているように見られ、大きな変動要因が減少傾向にありますが、こうなると米国の国境税の問題が市場で大きなテーマとして再燃する可能性もあり、何がこの先市場をゆるがす新たな材料になるのかをしっかり見つめなおすことが必要な時期になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)