週明けのドル円は、大きな窓空けこそなかったものの、114円台に戻れたのも一瞬でその後は113円台後半を上下する展開が続いています。すでに3月利上げは完全に市場に織り込まれてしまったようで、このネタで相場がさらに買いあがるのはほとんど無理なようです。
また、どうやら114円台後半までじり高になったのは多くの投資家の戻り売りが踏み上げられたのではなく、投機筋が積極的に買い上げたからのようで、週明けは逆に事実売りが起因して下落が続き、簡単には114円台に戻れなくなってきてしまっています。
しかしその一方で、下値のほうも堅く113.500円以下には下がらない状況が続いています。チャートから見ますと一旦下押しする可能性もでてきていますが、今週末の雇用統計に向けて下方向を試してだめなら一定のショートカバーがでて買いあがる可能性も否定できないところとなっていおり、これで大きく下がるような相場にはなっていないことにも注意が必要です。
投機筋はまだドル円ロングを投げきってはいない
ここで今週のドル円の動きを握るのは、やはり114円台まで無理やり買い上げてきた投機筋の動きになりそうです。114円台のポジションは一旦下落で投げさせられたのは間違いないようですが、投機筋は111円台や112円台から仕込んであるポジションはそのまま売らずに活かしている模様で「雇用統計」で売買に一定の反応が顕著になりそうです。
「米国雇用統計」がよければ悠々と114円台後半もしくは115円に乗せたところで売りを出してくるでしょうし、その前に大きく相場が崩れてしまうときには「雇用統計」を待たずに反対売買を行ってくる可能性が高まります。
したがって今回の雇用統計でどのような結果がでてもドル円は売られやすくなるものと見られ、注意が必要になりそうです。
利上げ確定段階で再度売られる可能性も
こうなりますと、3月15日の「米国FOMC」での利上げが確定したあとドル円がどのように動くのかが気になるところですが、すでに完全に織り込んでいる利上げをネタに115円台方向を買いあがるとは思えず、115円を一旦でも上抜けられるかどうかすら微妙な状況になってきているようです。
また、米国の株式市場が利上げを受けて、まったく影響がでないのかどうかも大きな注目点となりそうです。すでに市場では次の利上げが5月か6月か9月かということが話題になってきているようですが、利上げが全く株式市場に影響を与えないとは思えず、3月末にむけて果たしてドル円が再上昇の軌道にのれるかどうかが大きな注目点となりそうです。
実際に相場が下落方向に動き始めてはじめて市場は騒ぎ始めるのが最近の特徴になっていますので、株式市場の動きにはあらためて細心の注意を払う必要がでてきそうです。
また3月15日にはオランダの総選挙が開催だれますがこの結果で市場が暴落することは考えにくいものの、右翼系政党が躍進すればリスクオフからユーロ円やポンド円が下落し、円買いの流れからドル円も再度下押しを試す展開になるかどうかに注意を払うべきでしょう。
意外にこの影響は大きくなる恐れがあり、ユーロの動きはあらかじめチェックしておくことが重要になります。トランプ演説、「FRB」の3月利上げ観測など、月初に想定されてきた不確定要素が一応クリアされつつある中で、ここから月末に向けての相場の不安要因は株価と債券金利程度が中心になりそうですが、相場が予想外に変化した場合にはドル円は大きくその影響を受けるリスクが残る点だけは意識しておくべき状況です。
トランプ政権の政策の詳細が明らかになる3月11日に予定される予算教書の中身は議会の承認が必要にあるものばかりですから、すぐに影響を受けるものはあまりないと考えられますが、減税が試案であってもたいした内容にならない場合には一定の失望売りからドル円も「リスクオフ」を考えることになりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)