週明けNYタイムはプレジデントデーで株式市場が開いていないということから、為替もほとんど動かず膠着状態となっていますが、それにしても上値が重たい状況が続いています。
市場の後講釈もいろいろ見ていますが、どうも説明としてはしっくりこないものがあり、本当は相場で何が起きているのかが気になるところです。今回はそのあたりに切り込んでみたいと思います。
米国10年債の売り玉が最高レベルで推移
「IMM」の投機筋の通貨ポジションは有名な存在ですが、実は米国10年債の売買ポジションなども開示されており、米国債が足もとでどうなっているのかも粒さに理解できるようになっています。
これを見ますと多くの投機筋が10年債を売り持ちしており、そのレベルは最広域に達しかかっていることがよくわかります。しかしそれでも金利は上昇しない状況になってきていますので、ここからそれなりの買戻しがでることになれば米国債金利はさらに下落が予想されることになり、利上げを目前に控えている割には金利の上昇が織り込まれなくなってきていることがわかります。
個人と見られる投機筋もどうやら米国10年債は結構積極的に売っているようですが、この辺りの投資が失敗することになりますと、日米の金利差は思ったほど乖離しなくなり、本当に利上げが行われるまでは当分この状況が続くことも考えられる状況です。
まず米国債金利の頭が抑えられてしまっているのがドル円低迷のひとつの要素と考えられます。
投機筋がドル円ロングを手放しはじめている?
またまた「IMM」の通貨ポジションの話しになりますが、「CFTC」が17日発表した2月14日時点の建玉報告によると「CME」の通貨先物市場で投機筋のドル円のロングは5万1284枚と前回の5万5060枚から3776枚減少しています。
この数字では市場に大きな影響を与えている状況にはありませんが、昨年11月からドル円の上昇に大きく貢献してきた投機筋がドル円のロングをいよいよ手放しはじめているのはどうも事実のようで、103円ぐらいから見れば10円以上の利幅があったところで販売売買に転じ始めているとすれば、この動きがここから先さらに3月に向けて加速するようなことになればドル円の上値は相当重たくなることが予想されます。
投機筋は単にドル円のロングを手放しているだけではなく、オプションを購入することで方向感のはっきりしない相場で利益を確保することを行っている気配も感じられます。
これがよく株式市場などで聞くロングストラドル&ロングストラングルなどというもので、リスクはオプション料の損失だけえでブルであろうがベアであろうが大きく動けば動くだけ利益になるというものです。
「ボラティリティ」が高くなることは予想されても、相場の方向感が定まらないときにストラドルかストラングルが買われることになるわけです。
ストラドルの買いは行使価格と満期日が同じプットとコールの両方を買う事で、ストラングルの買いは同じ満期日ではあるがプットの行使価格がコールの行使価格より安いものを買うことを指します。
ストラングルの方がプレミアムの支払いは減りますが、同時に利益になるためにはより大きな相場の動きが必要になります。このあたりは個人投資家が為替で一切行わないものですから、ある意味独特の世界といえますが、こうしたことが背景にあって足元で以上にオプションの売買が増えているとすると相場がいきなり逆走して115円に近づくはずが112円台にまで落ち込んでくるというのも判らない話しではないといえるのです。
どうも現状のドル円相場は投機筋がそれなりにあれやこれや動いていることが背景にあって理解しにくい流れができているようですが、それもこれもトランプ相場が起因していることは間違いなく、こうした不可解な状況が当分続きそうに思われます。
(この記事を書いた人:今市太郎)