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Photo 産経新聞
妙にあたりのやわらかい日米首脳会談とその後のゴルフによる長時間の接待を垣間見ることになった先週末の動きですが、何も要求されていないはずはないと思っていたところ、やはり飛び出したのが米国からの「FTA」締結要求でした。
米国はFTA締結を目指す。を共同声明に要求
ロイターによりますと、安倍首相とトランプ米大統領がホワイトハウスでの首脳会談後に公表した共同声明の作成段階で、米側が「日米自由貿易協定（FTA）の締結を目指す」との文言を入れるよう要求していたことが14日明らかにされています。
ただ、日本側は難色を示し最終的には2国間の枠組みに関して議論を行うと表現を修正していますが、今後の大臣級の具体的な議論においては米国からFTAの締結を迫られることは間違いなく、ゴルフと会食で個人的関係がよくなったことは前進としても日米関係が手放しで安心できるわけではないことがいきなり露見することとなりました。
安倍総理は既に確約させられているのか？
安倍晋三首相は14日の衆院予算委員会で、先の日米首脳会談を踏まえ、日米２国間の自由貿易協定（FTA）について「FTAを恐れているわけではない。国益になるならいい。ならないなら（交渉を）進めないのは明確だ」と述べています。
しかし、果たして本当にNOと言える立場なのかはかなり微妙であり、実はなんらかの形でFTAの締結をコミットさせられている可能性もありそうです。
問題は貿易関連で自動車の扱いがどうなっていくのかと為替に何らかの上限なり枠組みが持ち込まれることになるのかということになりそうですが、日本車は米国車よりも米国製部品を使っているなどという説明で、「はいそうですか？」となる可能性はかなり低いものとみられます。
トランプ政権の閣僚がすべて承認された段階で、このあたりは米側の専門家から想像以上に厳しい条件を突きつけられる可能性が残っていることに注意が必要になりそうです。
4月には米国サイドからペンス副大統領も来日して具体的な交渉がはじまるようですが、それまでに様々な条件に関する米国側からのリクエストが高官発言でメディアに登場することもあり、為替にいきなり影響がでることも危惧されます。
トランプは辞職したフリン補佐官に深夜電話で為替の質問していた
トランプ政権では国家安全保障担当の「フリン大統領補佐官」がさっそく辞任する事態となっております。
そもそもこの政権は長続きするのか、かなりリスクが高まりつつあるようですが、国内ではほとんど話題にならなかったものの、ハフィントンポストが7日付けでトランプ大統領がこのフリン補佐官に深夜の3時過ぎにわざわざ電話をして米国にとって「ドル高がいいのか？ドル安がいいのか？」ということを質問していたという報道が出ています。
この電話が何日の話しだったのかは明らかにされていませんが、1月末から2月の初旬の話と思われます。
当のフリン補佐官は自分は経済の専門家ではないのでエコノミストに聞けと返答したようですが、そもそもこの領域は「貿易赤字」から歳入を増やそうと画策しているピーター・ナヴァロなどの管掌領域であり、なぜフリン補佐官などにトランプが相談したのかがフリンの辞職でさらに大きな疑問となってきています。
様々な領域でトランプ発言が多少後退しているように見えるものが出始めてきていますが、これもあえて方針を変更しているのか、単によくわからないままに発言が変わってきているだけなのかは依然として判断がつかない部分も多く、すべての閣僚が承認されて、トランプ政権がフル稼働していくまではまだまだ不可解な話しが米国サイドから飛びだすリスクもありそうです。
ドル円も利上げが早まるからドル高と考えるわけにはいかなさそうな状況が続いています。
（この記事を書いた人：今市太郎）
