日米首脳会談をとにかく消化したことから、2月13日からの週の為替相場は新たなテーマを探す展開が予想されます。
日米首脳会談の結果をめぐっては、会談前の10日の東京タイムから先に大きなショートカバーがでて114円台手前までドル円が上伸してしまったこともあり、11日未明の会見でもそれほど大きな動きにはならず、多少肩透かしを食らった感もあります。
経済や為替の問題に両国首脳から何ら具体的な発言がでなかったことから一時的にドル円は112円台に下落しましたが、終り値は一応113円台を維持して引けていますから、週明けもよほどマイアミでのトランプ、安倍の会話に大きな進展があったり具体的な注文がついたといったサプライズ報道がないかぎりは大きな窓空けがでるような動きにはならなくて済みそうな気配です。
テクニカル的にはドル円は111円50銭レベルでダブルボトムを打ったことから再度上昇も期待される状況ではありますが、きわめて政治的な要素の影響を受けるドル円だけに果たして再度118円方向に動いていくのかどうかはかなり疑わしい状況になりつつあります。
13日の週は「イエレン議長」の議会証言も予定されており、再び「FRB」の動きに市場の注目が集まることが予想されます。
当面の注目点はヴァレンタインのイエレン議会証言
市場が織り込んでいる3月の米国利上げ確率はまだかなり低いものがありますが、「イエレン議長」が14日に開催される米国の議会証言において積極的な利上げを行うような発言を繰り出せばドル円にも大きな上昇材料を与えることになりそうで、会談内容の不透明な日米首脳会談の結果よりもこちらに相場が反応する可能性があります。
毎回ご紹介しています「CME」のFedWatchの確率は3月はさらに下落して13.3%しかありませんので、「イエレン議長」の発言で前倒し感が高まることになればドル円は再び大きく上昇することが期待されることになります。
フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は6日の講演において、労働市場の勢いが維持され、成長の継続と賃金上昇が見られた場合、3月の「FOMC」で利上げはひとつの選択肢になると発言をして注目を浴びていますし、ここから「FRB」の利上げペースが速まるようなことになれば市場には大きな変化が訪れることが予想されます。
早期の利上げに米国株式市場が耐え切れなくなる可能性も
足もとの株式市場では驚くべき内容の税制改革を発表する予定であるとのトランプ発言を好感しNYダウはさらに史上最高値を続伸する動きになっていますし、イールドカーブも長短金利に明確な差がついているおとから株価は下げにくい状況が続いています。
ただ、ここから「FRB」が積極的に利上げを行っていった場合には株価が耐え切れなくなるリスクもかなり高まることとなり、必ずしもトランプの政策と親和性があるわけではない「FRB」の先行した判断がとんでもない引き金を引く可能性にもかなり注意を払う必要がでてきています。
市場はトランプの政策に過剰な期待
どうも見ていますと、市場はトランプの政策がはっきり見えなくなってくると相場が停滞するものの、約束どおりのドットフランク法の改正や減税などが飛び出すと必要以上に相場は期待に溢れる状況が続いています。
しかしトランプの政策といえども魔法の杖ではありませんし、多くの政策が大統領令だけでは着手できないものだけに時間もかかり、規模も修正されることが容易に想像され、市場期待ほどの経済的効果がはかられないリスクがほとんど考えられていない点が大きな問題となってきています。
「FRB」も「イエレン議長」をはじめとしてかなり楽観的に捉えているようですが、利上げを契機として大きく市場が変化する危険性は依然として高い状況えあることは個人投資家もしっかり認識しておく必要があります。
(この記事を書いた人:今市太郎)