6日に発表された米国の「雇用統計」は非農業部門雇用者数は予想を下回る15.6万人の増加となったものの、平均時給の伸びが予想を上回り2009年以来最大の伸びとなる0.4%となったことが好感されドル買い株買いが進みました。
完全雇用が実現する中で、人手不足からいよいよ時給が上昇してきたと見れば確かに買い要因ということができる状況で、NYダウも一時19,999.63と2万ドルにあと1ドル以下のところまで上昇し、前日比64.51ドル高の19,963.80ドルで週の取引を終えています。
発表前に2.33%まで下落していた米国10年物国債利回りは、2.42%近辺まで反発しており、果たして週明けまた117円台をドル円が上伸していかれるのかどうかに注目が集まります。
トランプ会見を目前に控えて再度調整も
トランプのツイッター発言は、米国内の自動車メーカーのみならずトヨタにまで言及したことから本邦勢の株価にも影響がではじめていますが、11日の大統領決定後初の記者会見で何が飛び出すことになるのか市場は戦々恐々としはじめており、11日の直前に再度調整が出る可能性も考えておく必要がありそうです。
トランプツイートはそれなりに考えて出されているとも言われますが、中国に対するけん制はかなり度を越えるものになりつつあり、本当に熟慮の果ての呟きなのかどうかが危惧されます。
恐らく実際に政権がはじまってみると戦略的なものなのか現象的なものなのかがはっきりわかることになりそうですが、大統領決定後いいところどりだけして勝手な期待から上昇してきた株も為替もいよいよ一旦区切りがつくところにやってきていることがわかります。
恐らく株価は20日の前になんとか2万ドルに乗せて上昇終了となるのかもしれませんが、ドル円のほうはさすがに118円台中盤を越えてここから一気に120円に行くとは考えられず、むしろ下方向の調整局面が継続しそうな状況となりつつあります。
またそうこうしているうちに米国は企業決算が始まることになり、一連のドル高が企業に影響を与えていることが明確になると、またしてもトランプのドル高けん制ツイートなどがでるリスクが高まることになり、一方的にドル高円安が進みにくい時期にさしかかるのも気になります。
昨年12月15日に118.665円をつけたドル円は、年明け4日に118.597円まで上昇したあと115円台初頭まで下落していますのでダブルトップを形成した状況でしたが「雇用統計」を受けて117円台まで戻してきていることから、ここからの動きが果たしてどうなるのかが気になるところです。
月足の20ヶ月移動平均は今週113.800円レベルにありますから、とにかくこれを下抜けない限りは押し目買いが基本となりますが、強い上昇意欲があるわけでもなさそうですから当分「ボラティリティ」の大きな上下振幅相場が継続しそうな雰囲気です。
雇用統計後の上昇がピークというアノマリーも気になるところ
ここのところ「雇用統計」後に上昇したドル円相場は翌週に下がることが多く、火曜日意向も上昇がキープできるかどうかがその判断ポイントになります。
確かに雇用の状況がよければ今後の利上げのタイミングも早まりそうではありますが、依然として詳細の判明しないトランプ政権の減税と財政出動規模次第では利上げペースにも変化が現れることは間違いありません。今回もこのまま反転上昇するとはなかなか期待しにくい状況となっています。
新年第一週の相場を見ていますと、依然として短期の投機筋の売り買いに終始している感があり、上昇しても反対売買がでればいきなり大きく下がる動きが「実需」のしっかりとした売買に裏打ちされていないことを明確に示している状況で、やはり実需筋が相場の流れに本格的に参入してこないことにはトレンドが発生しないことがよくわかりました。
年初だというのに117円台でドル円を買って損切りを余儀なくされた方も多かったでしょうし、なにより「インターバンク」や短期の投機筋も5日の大幅な上下動ではかなり年初からやられてしまった相場だったのではないかと思います。
9日日本はまた祝日ですが、本邦勢抜きで動く相場が想定外の方向を示唆してしまうかどうかにも注目が集まります。
(この記事を書いた人:今市太郎)