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年明けというのは例年中国がらみで何か事が起きやすい時期になるものですが、今年は仮想通貨の「ビットコイン」が過去最高値から23％も一時的に下落することとなり、その背後に中国人民元と深い関係があることがいきなり表沙汰になりました。
果たして「ビットコイン」と中国人民元にはどのような関係があるのか？今回はその概要についてまとめてみることにします。
通常通貨では考えられない乱高下を示現したビットコイン
Source Bloogberg
「ブルームバーグ」のデータによりますと、「ビットコイン」の価格は５日、一時888.99ドルに下落した後、957.54ドルに持ち直しています。
厳しい通貨規制を講じる中国などでの「ビットコイン」の利用拡大を追い風に前日の４日には過去最高の1161.89ドルを付けていたばかりのことですから典型的な乱高下ということになりチャートの形状もナイアガラの滝を連想させる暴落ぶりとなっています。
そもそもビットコインはブロックチェーンの技術が話題となっているものの、日本では詐欺事件も起きていまひとつ信頼性に足らない仮想通貨というイメージのほうが前面に出ており、流通量もよく理解できないことから一部の投資家にしか利用されていないのが実情ですが、実はこの仮想通貨は中国の一部投資家に非常に積極的に利用されてきたものといえるのです。
ビットコインの取引主体はもっぱら中国人
このビットコイン、取引の中心はほとんど中国人のようで、ビットコイン取引のなかで対中国人民元での取引は実に9割に達しているといいます。
つまり中国人民元で貨幣をもっていたくない中国人投資家などが積極的にビットコインに交換している姿が見えてきます。とくに中国本土に住む中国人の利用がほとんどであり人民元の規制がビットコインへのシフトに大きく関連していることを強く示唆しています。
ビットコインの大幅下落は中国当局が人民元相場の下落や資金の国外流出に歯止めをかける策を練っているという報道が基点となってはじまっており、実際に5日には対ドルで3％の人民元高を示現しています。
どうやら当局が積極的に介入に踏み切った模様でこれに呼応するかのように年初から16%近い急騰となったビットコインは一気に下落することとなっていることから中国人投資家が人民元とビッドコインの間で資金を積極的に移動させていることが見えてきます。
本来特定国の「ファンダメンタルズ」などとは無縁の存在なのが仮想通貨のはずですが、ほとんどの利用者が特定国に存在するとなればその利用者がマジョリティとなっている国の様々な通貨政策がいきなり仮想通貨の動きに反映されてしまうことを改めて認識させられる事態となったわけです。
中国では年明けから個人の外貨交換枠年間5万ドルが適用
中国では毎年新年になると個人における年間の外貨交換額最大5万ドルが適用になることから事前に申し込みをして米ドルなどに交換する向きが増加するのがここ数年の状況となっているようですが、こうした外貨交換額も中国政府にとってはバカにならないものですから、あえてこの時期に人民元高に持っていこうとしていることがわかります。
中国政府の外貨準備は足元では急激に減少傾向にあり、人民元高を演出するために外貨を減らすことになれば、またしても米国債を売って資金を調達する動きがでることも想定され、債券と為替相場に影響を与える可能性もでてきています。
トランプ政権の誕生を控えて米中間ではかなりの舌戦が繰り広げられはじめており、通商問題を契機として両国の関係が悪化すれば通貨にも大きな影響がでることが懸念されます。
2016年後半はほとんど注目が集まらなかった中国人民元でしたが、ここからは2月の春節（中国の旧正月）を控えて、当分人民元の動きにも注意を払う必要がありそうです。
（この記事を書いた人：今市太郎）
