8日の「ECB理事会」を経て、年末の大きなイベントもいよいよ「FOMC」の結果を待つのみの状態になってきていますが、9日とうとうドル円は115円台に乗せてきており、「FOMC」の前までにさらに高値を目指す動きが予想されます。
ECB理事会の結果で酷く痛んだ為替市場
テーパリングではないかと過剰に市場が反応した9日の「ECB理事会」の結果発表では、ユーロが暴騰したあとで大きく下落することとなり、もっとも割りを食ったのはユーロ円でいきなり吹き上げたあとにまっ逆さまに下落してなんと2円20銭という典型的な「ECB」結果暴落を示現させてしまいました。
5週間にわたって積み上げてきた利益をふいにしてしまった個人投資家の方も結構いるのではないかと思われますが、またしても炸裂したドラギマジックのおかげで、ユーロ主体で為替相場は想像以上に傷んでしまい、翌日の東京タイムは、ほとんど大きく動かず、市場参加者も明らかに減少している模様です。
いよいよ年末特有の閑散相場に突入かと思われましたが、またしてもロンドンタイムからNYタイムにむけて大きな動きがでることとなりました。
利上げは完全折込状態で今後の利上げ回数が大きな焦点に
毎回ご紹介しています「CME」のFed Watchでは実に97.2%に達していますから、利上げ自体は完全に織り込み済みで、その結果で相場が動くことはありえない状況です。長年このFed Watchを見続けてきていますが、100%近い数字がでるのは実に異例であり、利上げの結果で相場が動くことはもはやなさそうです。
ただ市場の注目は今回の利上げそのものではなく、今後の利上げがどのように行われるかに大きく移ってきていることから、会見での「
イエレン議長」の発言が注目されることになりそうです。
ただ、トランプ政権でなにが現実のものになり、またどの部分が話しだけで実現不可能なのかはまったく精査されていませんから、「
FRB」としてもこの段階で明確な政策が出せるとは到底思えませんが、果たして10月に「
イエレン議長」が開示した高圧経済の政策とトランプ政権の打ち出す経済政策とに整合性が持たれることになるのかどうかが争点で、国債金利も3%を超える水準になればさすがに債券金利が上昇する中で株価も上昇するといった異常な事態が反転し株の下落が始まることは容易に予想できることになります。
米系ファンド勢は一刻も早いドル円の上昇を画策か
今週ドル円は日足のボリンジャーバンドで終り値が一旦+1σの中に下落し、さすがにこのレベルで上昇はお仕舞いかと思われましたが、やはりNYタイムにかけて強引に115円台に乗せようとする向きが登場し、終り値も115.329円まで上伸することとなりました。
「
FOMC」以降に不安定な要素がかなり出始めていることや、徐々に口を開き始めたトランプ時期大統領がいつ為替に言及しはじめるかわからない状況であることから、どうやら米系ファンド勢も「
FOMC」の前までに一定の上昇を画策しているようで、さすがに14日までに120円に達成するとは思えないものの、115円中盤の昨年最高値から今年の最安値を結んだ61.8%戻しを超えれば117円近辺までの「
オーバーシュート」はそれほど難しくないところにさしかかってきています。
高値についていくのはなかなか怖い部分が残りますが、とにかく動き出したらストップをしっかり入れてついていく方向で利益を積み上げるしかないのが現実です。まだ到達するかどうかはまったく判りませんが、120.33円を超えて年内終了しますと、なんと年足ベースで今年のドル円は陽線引けするという驚くべき事態になるわけで、当分大きな戻りのことを意識するのは封印して売買する意識の変化をもとめられそうです。
日足でみますと上がるか下がるか微妙に見えるドル円ですが、週足ではまだまだ相場が若く、ここから上昇する可能性をかなり秘めていることがわかります。
ここで本邦の個人投資家がまたしても値ごろ感から売りで参入してくるようですと、意外にあっさり120円まで「
オーバーシュート」気味に到達してしまうというリスクも考えておかなくてはなりません。