大統領選挙までわずか11日というタイミングで突然飛び出した、FBIのヒラリーメール捜査再開報道で大きく下落したドル円でしたが、捜査再開だけが示されたのみで、その後1日以上経ってもこれからどうなるのかさっぱりわからないことから、あらゆる金融市場はこれをどう消化していいのかの判断が全くつかず、一旦は戻る相場になって週を終えました。
しかし上昇に冷や水を浴びせられたことだけは間違いなく、ヒラリー&トランプリスクは今頃になって6月の「BREXIT」をはるかに超えるレベルになる可能性がでてきてしまいました。
大統領選で相場が上昇することはなくなった?
リスクの全体が見通せない中で売買する為替相場ほど危ないものはありませんが、とうとう今回の米国大統領選挙はそのもっともリスクの高いイベントになりつつあるようで、選挙結果を受けてヒラリーが勝利なら相場が上昇するといった単純な動きすら期待できないところにさしかかってきています。
国家的犯罪に加担したかもしれないヒラリークリントンと、法律すれすれで冒している事実はないものの大統領には明らかに不適格な人格者であるトランプに対して、果たしてFBIの捜査報道で有権者の投票行動が変わるのかどうかは正直まったくよくわからなくなってしまいました。
もちろんトランプ勝利なら即あらゆる相場は「リスクオフ」で大きく下落することになると思われますから、もっとも相場の動きがわかりやすくなるといえますが、ヒラリーが勝利しても犯罪者として逮捕されるかもしれないとなると、大統領選ですべての決着がつくわけではないので、その後にもリスクが残ることになるのがなんとも嫌な感じです。
とくに個人のメールアドレスを使ったこと自体ではなく、それを使って行った内容に対する犯罪性が問われているのは非常に困ったことで、大統領就任決定者がその後に逮捕されてしまうといった事態に陥った場合、裁判の決着がつくまでその職務を遂行できるものなのかどうかも気になるところです。
日本ならば道義的責任を問われる状況であるだけに、米国という国ではこうした局面でどのような動きになるのかが非常に注目されるところです。
現実的な結果もさることながらネガティブな報道内容がヘッドラインに踊るたびに「アルゴリズム」が可能反応して売り浴びせの相場になるのに巻き込まれることになるのだけはなんとか避けたいものですが、これがいつどのようにでるか判らないのは非常にやっかいです。
11月第一週は材料満載で相場が元の雰囲気に戻るかどうかに注目
11月第一週は「日銀の政策決定会合」、米国「FOMC」,週末「雇用統計」と材料が立て続けに登場することになりますが、日銀と「FOMC」は今のところ何も新しいことが起きる可能性はありませんから、本来ならば週末「雇用統計」を受けて12月利上げの可否を最終的に確認して大統領選挙の週に突入するものと考えられていました。
FBIのメール捜査の結果がいつ出るかはまったくわからないわけですし、犯罪性が確定しているわけではないですから、今週相場がこれを気にせずにもとに戻る動きをするのかどうなのかが売買を進める上でのひとつの判断要素になりそうです。
ただ追加の報道がでればまたしても相場下落リスクが顕在化することになります。一番賢明なのは、状況が判断できるようになるまでとにかく様子見で市場にかかわらないことですが、どうしてもポジションをとるなら短時間で利益を出す方法を考えるのがもっとも安全なディールになりそうです。
英国の「BREXIT」を決める投票でもすべてが判明しはじめたところから市場に参加しても十分に利益を収めることができたことが思い出されます。
不用意にポジションをもたずにチャンスを待つ方が得られる利益も大きくなる可能性があるというわけです。ここからの2週間は早くから相場にエントリーしていればいるほど余分なストレスと損失に直面するリスクが高くなるということだけは十分に理解する必要がありそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)