例年ハロウィンが行われる10月末は、株も為替もBuy & Holdで翌年の4月まで継続して保有し利益を上げる絶好の機会となることが多いのですが、9月、10月ともにまともに下押し調整すらしなかった今年、年末に向けては米国の大統領選挙や「FOMC」の利上げも予測されている中で、果たして本当にこのタイミングで購入して来年に向けて上昇していくことになるのかかなり疑問な状況になってきています。
今回はこの「ハロウィンエフェクト」と呼ばれる10月末買いが、本当にワークするのかどうかについて考えてみたいと思います。
秋口の調整アノマリーがまったく出現しない2016年
出展 みんなの米国株
ここ1年あまり高原状態を維持している米国の株式相場は9月、10月とほとんど調整らしい調整もないままに横ばい状態が継続中です。
日経平均もご存知のとおり日銀の「ETF」買い以降ほとんど値幅調整というものがなくなり、足もとでは海外の投機筋の決算対策で株の買い上げもはじまっているようですが、それでも大きく買いあがるところまでは行っておらず、こちらも10月末が買い場になるとは俄かには思えない状況です。
一方、ドル円は9月27日に100.92円をつけてからは上昇局面にあり、年初からの抵抗線となっていた75日線も明確に上抜けたわりには上昇が遅く、かといって価格的な調整もほとんど出ないままに10月末に突入しようとしており、買い場を失った状況が続いています。
このように主要な株も為替も調整がないだけに、10月末がやってきたから事務的に買い付けていいものかどうかかなり悩ましいところに差しかかってきています。
11月8日を見てからでも遅くない
「ハロウィンエフェクト」で売買をする場合、かなり事務的に10月末か11月初旬にポジションをつくることになるのが慣例なのですが、今年は11月8日に米国の大統領選があり、しかもその後12月14日には米国「FOMC」で利上げが予想されていますから、昨年の利上げ後の動きと同じ流れをとるとすれば1月~2月は株価は下落、ドル円も下落調整に入る可能性がきわめて大きいものとなります。
大統領選も既に勝負あったことにはなっていますが、直近の世論調査ではトランプ支持が盛り返すなど、正直なところ米国民ではない我々にとってはその微妙なセンチメントを感じることができないだけに、ここで迂闊にポジションを仕込むことはできないといえます。
したがって、下落局面では下値を拾うことにして、我慢強く待ちながら対応し、仮に安くポジションをとることができても12月14日前に利益確定ができるならポジションは閉じて「FOMC」に向かうというのがもっとも堅実な方法になりそうです。
まあ押し目買いに押し目なしという可能性はかなり高く、待っていたら何も仕込めずに年末になったということもありそうですが、あえて大きなイベント前にポジションをもって待機する必要もなさそうで、まだまだ波乱の起きそうな相場のまさかの事態に備えるほうが重要です。
大統領選は地すべり勝利が起きるとその後の株価は下がる
これまで米国の大統領選挙に絡んで相場には様々な「アノマリー」が登場していますが、過去に地すべり的勝利で大統領が選ばれたときには必ず株価が崩れているという「アノマリー」も存在しています。
クリントンの勝利がこうした形になった場合には、むしろ11月8日以降に買い場がやってくる可能性もあるため、固定的なイメージはもたずに柔軟に対応したほうがよさそうです。
また米国の利上げ後は一定の株価下落は免れなくなりますので、利上げが現実のものとなった場合には、今年のハロウィンエフェクトは効果なしと判断せざるをえない状況です。
「BREXIT」をめぐる投票での相場の大崩を思い浮かべますと、結果がでてから動いても十分に利益機会はありますので、イベントの瞬間にポジションをもっていなければならないとこだわる必要はありません。
足もとではキャッシュポジションを増やして様子を見ているトレーダーがかなり多くなっているようですから、動きが出始めると順張りで大きく相場が動き始めることにも注意して取り組むべきでしょう。
(この記事を書いた人:今市太郎)