7日の朝、「米国雇用統計」待ちで比較的様子見で鈍い動きのはずであった、東京市場スタート直前にポンドが対ドルで6.1%という急落を示現する場面がありました。
これは6月の「BREXIT」騒動以来の明確な暴落状態ですが、半日経ってもその理由ははっきりしない状態で、今も憶測が飛び交う状態となっています。
下記の1分足、ポンドドルチャートを見ていただくとわかりますが、完全に瞬間暴落であり、またその後にすぐ買い戻されている点をみますと、誤発注か「アルゴリズム」による売買誘発のどちらかではないかという見方が強くなっているように思われます。
業者によって価格もまちまち
一応今回はポンドドルとポンド円の二つのチャートを載せていますが、日本人投資家しかさわらないといわれるポンド円については118.198円をつけた形にはなっているものの、業者によってはカバー先の違いなどからこの下落価格が大きくことなっているようです。
それよりもなによりも、スプレッドが猛烈に開いてほとんど下落で指値をしていてもなにも利益確定できなかったという声も聴かれ始めています。
そんなことがあるのか?と思われるかたも多いことと思いますが、たしかにカバー先からまったく価格がでてこないままにいきなり瞬間に下落したものの、猛烈なスプレッドが即座に示現した直後にまたか買おうが戻ったとすればせいぜい2円ぐらいの動きですから、まったく約定しませんでしたという可能性もないわけではありません。
逆にストップロスは機能したのかという点もはっきりわかってはいませんが、半日たっても大騒ぎにならないところをみると、損も儲けも出なかった可能性があり、しかもほかの通貨に大きく波及しないままに終わっているのもなんとも不可解な状態です。
相対取引のいいところも悪いところも示現
FXというのはひとつの市場に個人投資家からプロの投機筋、実需筋までが集って売買を行っているところが大きな特徴といえますが、ご存知のように店頭FX業者を通して個人投資家が売買を行っているのは同じチャートを見ながらの業者と個人との関係での相対取引ですから、実は業者ごとにその間にリアルタイムで提示されている数字はみな異なるものになっていて決して同じではないのです。
したがってここでご紹介しているチャートと同じ数字を提示した業者もいればまったく異なる数字を提示した業者もいるでしょうし、ASKとBIDが大幅に広がってしまったところもあって、こうした不可解な動きになると同じところで売買していても儲かった個人投資家とそうでない人がでてきてしまうという非常に不公平な相場展開になることがあるのです。
とくにポンド円は典型的な架空通貨ですから業者ごとの動きも大きく変化しやすい状況にあったということがいえます。願わくば、ストップロスだけはなんとか機能してくれたことを祈りたいところです。
こんな下のほうに指値をおいておいた人もいないとは思いますが、果たして指値がついたのかどうかも非常に気になるところです。
指値の場合、最初から損切りを入れるケースも少ないと思いますから、相場に近いところで買いを入れてそのまま底まで連れて行かれて強制決済になったり追証を求められた人がいないのかも気になるところです。
半日以上経過しても損失の話があまりでてこないところを見ますと、まともに機能した業者は実はほとんどなかった可能性のほうが高いのかも知れません。
それにしても東京タイムの朝にこうしたことが起きるというのは非常に珍しいことで、「アルゴリズム」で1円近く値が飛ぶことは最近では珍しくはありませんが、10円規模となるとよほどの多額なご発注でないとこのような動きがでるとは思えない状況です。残念ながら「事実な闇の中」でおしまいになりそうな感じです。
(この記事を書いた人:今市太郎)