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Photo CNN
英国のメイ首相は、10月2日EU離脱プロセスを「2017年第１四半期中」に開始する方針を明らかにし、また俄かに相場が動きはじめています。
英国のEU離脱が実際にどのような形になるかをめぐる大部分の疑問は依然として解消されていないものの、離脱戦略に関してはこれまでで最も明確な意思表示となっています。
もともとメイ首相は離脱反対派でしたが、EU離脱を国民が選択した以上、事態をあまりに長く先延ばしすべきではなく、リスボン条約50条の発動を準備が整った段階でそれを行うと発言しています。
これまで言語明瞭なれど行動が不明瞭といわれたメイ首相が明確な方針を打ち出したことで、「BREXIT」騒動はフェーズ2のディテール関連で右往左往する可能性がでてきています。
在英金融機関の問題がポンド安を示現
これは以前から懸念されていたことですが、在英金融機関がこれまでのようにEUを単一市場としてビジネスをすることができなくなる可能性が一段と高まったことから、英国に拠点をおいている金融機関に悪影響がでるのではないかといった先行き不安が再燃し、ポンドは大きく売られる形になっています。
しかし、それならばフランクフルトに移転すれば安心かといえば「ドイツ銀行」に端を発するEUの金融不安も顕在化してきていますので、EUにさえ残留していればハッピーだったかどうかはわからない状態で、ここからは抜け出しておいてよかったという話も登場しそうです。
チャートで見ますと結構「BREXIT」騒動から戻した感もありましたが、頭は抑えられている状態で、さらにディテールが決まってこないとこの動きを抜け出すことは当分できない可能性もでてきています。
ドイツ銀行から資本流出が始まっているのが大きな懸念事項
「ドイツ銀行」の経営不安問題は、米国司法省との和解金取引が半額割引セールに持ち込めそうであるという楽観報道のおかげでいきなり「リスクオン」という現金な動きになっています。
既に主要なファンド勢は顧客からの強力なリクエストに応える形で「ドイツ銀行」から資金を引き上げはじめており、8年前の「リーマンショック」のときの同様の動きを考えると、「ドイツ銀行」が直面している状況は決して楽観視できないのが現状になっています。
闇雲にリスクを煽り立てるわけにもいかないため、マスメディアの報道もなんとなく限定的なものになってしまっていますが、「ドイツ銀行」起因のリスクが収まったと見るのはあまりにも早計で、ここから何が起きるのかについては注意深く見守る必要がありそうです。
みずほFGがほぼ193.5兆円規模ですから、いかにその図体が大きなものかはおわかりいただけると思いますし、日本でいう「メガバンク」の一角が崩れるかもしれないと騒がれ始めているわけですから、箪笥預金のために家庭用の金庫が爆発的に買われるのも納得のいく話です。
「ドラギ総裁」がなんの問題もないとしているのとは裏腹に、欧州系の銀行は本来の融資業務での利ざやを奪われてしまい、投資銀行業務やトレーディング業務、そして今もっとも懸案事項となっている「デリバティブ業務」への傾斜により、一段とハイリスクなビジネスに足を踏み入れています。
その金額を巨大化してしまったことは間違いなく、和解金半額で「ドイツ銀行」のリスクが去ったと思うのはまだ早い気がしてなりません。
大丈夫大丈夫といいながら一気にハードランディングしてしまった「リーマンショック」の記憶がよみがえるここのところの市場の動きであり、市場から資金を引き上げて様子見を決め込んでいる投資家が一段と多くなっていることを感じさせられる薄商いが続いています。
（この記事を書いた人：今市太郎）
