政策発表後1日祝日が間に入ってしまい、相場の反応というものがもうひとつ正確に理解できなかった日銀の発表内容に対する市場の動きですが、やはり欧米勢はこの内容が緩和とは受け止められなかったようです。
ドル円は一旦100円割れから101円台まで回復はしていますが、チャート上では102円ぐらいまでの上昇余地を持ってはいるものの、実際には大きく買いあがるような動きにはなっておりません。
金融株で持ち直した東証も日経平均連動から「TOPIX」連動に「ETF」の買いが変化することを好感する部分はあったものの、既に23日の相場で日経平均は反落する動きがではじめており、相場は株も為替も日銀の政策内容を好感して買いあがる動きがここから継続することは殆どなくなってきている状況のようです。
むしろ週明けに、下方向を模索するリスクのほうに注意すべき時間帯に差し掛かってきているようです。
長期金利をコントロールできるとする日銀の説明に違和感
今回の政策決定内容で多くの市場参加者から違和感が聞かれたのが、日銀が短期はともかくとも長期金利を完全にコントロールできるとしている部分で、日銀自身自らのサイにおいて長期金利は「中央銀行」がコントロールできないものであるとしているにも関わらず、今回の「金融政策」でいきなりコントロール可能としているのはおかしいという声が日増しに高まりつつあります。
政策的にこれまで日銀が市場の説明してきたことと整合性のないことを持ち出しているという点だけとっても、かなり厳しいところにすでに日銀が追いやられていることを示唆していますし、ここから先にさらなる緩和措置がもはや見込めないこともかなり露見させてしまったことがわかります。
また「オーバーシュート」気味に物価目標達成後も買い上げを続けるとしている部分もとり方によっては「ヘリマネ」的対応を示唆しているようにも読み取れ、「デフレ」状況下ではいいとしても本格的にコントロールできないような「インフレ」が到来したときに、このような無制限の債券買い入れを果たして日銀が実行できるのかという疑問も高まりつつあります。
東京市場ではいまひとつその政策発表の内容に対する評価がはっきりせずに株価について102.700円台まで闇雲に買上げてしまった相場は、「黒田総裁」の会見が進むに連れて売られ、同日のNYタイムには100.100円まで突っ込む瞬間があったことを見ても、かなりその評価が低くなっていることを示しているといえそうです。
もちろん市場の反応がいいわけはありませんが、量の問題から抜け出るためには「マイナス金利」は日銀にとっては、かぎられた武器のひとつになっていることは間違いないはずで、審議委員の中でもかなりの抵抗にあったこととがうかがわれます。
そもそも同業の監督官庁である金融庁からもダメだしを食らっているわけですから、金融機関への一定以上の配慮が働いたことはどうやら間違いないようです。
当面日銀追加政策期待でドル円がさらに上昇することはない
こうなってくると日銀の今後の政策決定内容がドル円を上伸させる材料となることは考えにくく、またひとつドル円の支援材料が消滅した状況となってきていることがわかります。
また「FOMC」のほうも12月利上げをかなり市場が織り込んでしまいつつありますので、こちらも実際に利上げが起きてドル円が上昇するとは考えにくくなってきており、来週以降ドル円がレンジではありながら下方向を試す動きになるかどうかが注目されることになりそうです。
つまりドル円相場の中心が100円で、その前後にどれだけぶれるかという相場を考える必要がでてきているようです。
日銀の政策決定内容はいよいよ難解な領域に差し掛かってきており、市場の反応もリアルタイムではわからない部分が結構多くなってきていますが、相場自体はその評価の方向にあわせて動くことだけは間違いありませんので、よほどのことがない限りドル円はここから大きく上昇することがより難しくなってしまったといえそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)