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お盆休みの週となった15日からの為替市場は久々に短期投機筋が大きくドル円を売り浴びせるといった仕掛け売りも登場し、久々に夏休みの大荒れ相場となりました。
99.500円にあるといわれる大きな買いポジションとオプションのおかげで、なんど下押ししてもどうしても突破できない相場は「ショートカバー」を何度となく示現させることとなり、上下ともに全値戻しというなかなかシビアな相場展開となってしまいました。
市場参加者はかなり限られているとは思いますが、売り方も買い方もこの数日はかなり痛むこととなってしまったのではないでしょうか。
株式相場が下落してもETF買いをしなかった日銀
18日の日経平均は反落しましたが、市場では日銀が午後には「ETF」を購入すると期待していた投資家を大きく裏切り、買いが出なかったことが失望売りにつながったようで、とんだ「日銀依存相場」が株式市場で展開されるようになってきている状況です。
7月の「日銀政策決定会合」後、午前取引終了時点で東証株価指数（TOPIX）が前日比0.2％以上下げていれば、日銀から「ETF」の買い注文が昼に入っていたとの認識が市場に広がり、この日も当然707億の買いを多くの個人投資家が期待していましたが、あっさり買いなしで終わったことからとんだ肩透かしを食らうことになってしまったわけです。
もちろんこうした勝手な観測と市場が期待する法則は、あくまで市場の都合のいい期待に基づくもので日銀自らがこうした基準を公表して買い上げているわけではありませんので、そもそも法則が崩壊したと落胆することが間違いの始まりでもあるのですが、ある意味ではそこまで市場の日銀依存が強くなってしまったことを明確にするお話だといえます。
円高でも株高という連動感の消滅
これまでドル円での円高は必ずといっていいほど日経平均安を招くこととなっていたのですが、8月に入ってからは株安では日銀が707億円の「ETF」を買い付けてくれるという強い期待が市場にはびこるようになったことから、円高は株安にはならない状況が継続しています。
昨年までならばドル円100円割れは日経平均では1万5000円割れに近い世界でしたが、株安といっても足元ではしっかり1万6500円レベルが維持されるようになっており、もはや円高は株安にはならなくなっていることがわかります。
日銀が買うべきETFがないとの噂も
既に日銀は4兆円以上の「ETF」を国内で保有しているようですが、年間6兆円の買い付けを表明しても「ETF」の残されたマーケットは5兆円弱でしかなく、日銀がこれまで購入してきた単純平均による日経225ETFはこれ以上買い付けられるのかといった疑問も生じ始めています。
実際18日には日銀は個別株「ETF」を購入したようですが、こうしたこれまでの動きとは違う「ETF」買いが出てくるようになると市場の思惑と乖離して相場は、必ずしも上昇しなくなる可能性も考えられ、現状の異常とも思える日銀依存相場が非常に危惧されるところです。
既にこのコラムにも書きましたが日経225単純平均の「ETF」を購入した場合、ファストリやファナック、ソフトバンクなどの値嵩株が大きく影響を受けることから、それを理解している投機筋が先に買い上げる動きに出ております。
業績と関係なく特定銘柄の株価だけが上昇する歪んだ相場展開が継続していますが、逆に日銀がこうした「ETF」を購入しないとなれば値嵩株から順に売り込まれて、必要以上に日経平均が下落するリスクも高まってきているのです。
株価の上昇にドル円は追随しなくなっていますが、なぜか株の暴落にはドル円は素直に反応するのが世の常ですから、日経平均の大幅下落は円高要因となることをあらかじめ認識しておかなくてはなりません。
いずれにしても「金融緩和」はもはや行き着くところまできた感があり、すべては「中央銀行」期待で動く市場は何がでても失望感が高まり、結局のところ周り待って相場を下落させることになりかねない点にはかなり注意が必要になってきているといえます。
日銀はこのあたりの微妙なセンチメントをどこまで理解しているのかが気になります。
（この記事を書いた人：今市太郎）
