24日に大きく下落した日経平均は、なんとか5日続落で6割程度までは相場を戻す展開となりました。
しかし相場は依然として薄商いであり、なにか刺激がない限り上昇は期待できないということで、市場ではまたしても月末の「日銀政策決定会合」における追加緩和期待が大きく浮上しはじめています。
為替は相変わらずポンドが上下の「ボラティリティ」を大きくしていますが、ドル円は比較的落ち着いた動きでありながら、上にも大きく戻さず下押しも限定的という取引のしにくい相場が続いています。
ここへ来ても一定以上の効果があるのか?
30日に「英国BOE」は今回のBREXIT騒動を受けて、この夏にも「金融緩和」をほのめかしたことから株価は大きく戻すことなり、なんと24日の投票結果のレベル以上に戻すこととなっています。
こうした「中央銀行」の動きから国内でも、日銀に対するさらなる緩和期待がいきなり高まる形となってきており、米国の利上げが7月にはほとんど100%行われなくなる見通しであることから、ここからの一ヶ月弱はこの観測を巡っての動きが強くなりそうな状況です。
3年前に「金融緩和」が実施されて以来、とにかく株価が低迷し、為替が円高に振れるたびに日銀の追加緩和を期待する声が非常に高まってきました。
しかし、ここ半年の「日銀政策決定会合」後の相場は必ずしも思惑通りに相場が上昇しなくなっており、相場参加者自体がかなり気づいていることですが、もはや「金融緩和政策」だけでは、相場のコントロールができなくなる瞬間がかなり近づきつつあるといえます。
たとえば「マイナス金利」を深堀した場合、本当に株と為替にプラスになるとは思えませんし、国債の買い取り額を80兆円から100兆円に引き上げ、「ETF」を増額してもまた数日だけ相場が上昇してお仕舞いになる可能性は十分にあるといえます。
本来は財政出動とセットになることが大きな動きを呼び起こすことになると思われていましたが、実際に大型の財政出動は秋まで動かないということで、果たしてここで日銀だかが残されたカードを切ることになるのかどうか、そしてそれが役に立つのかどうかが大きく注目されることになりそうです。
果たして緩和期待で月末まで相場が持つかどうかも問題
外国人投資家勢は、参議院選挙ですべて材料出尽くしと読んでいることから、10日以降の相場はすでに下押しする可能性もかなり高まっているといえます。
このまま緩和期待が維持されることになるのかも大きなポイントになりそうですが、1月29日のようなことになれば相場はまたしても逆もどりすることになり、ドル円も下値を模索することが警戒されます。
全体的に相場を持ち上げる要素も非常に枯渇しており、かといって大きく売られる材料も出ているわけではありませんから、米国の株式相場などの影響も色濃く受けながら推移することになるかと思われますが、材料が乏しいだけに失望売りがでると大きく下げることにも注意が必要となります。
本来参議院選挙前に日経平均が1万8000円以上、ドル円も110円に接近するような動きになっていれば、また大きく下げる動きが加速することも考えられましたが、既にかなり下落してしまった後だけにどれだけここから下押しするのかも気になるところです。
2014年の夏にも異常と思える膠着相場が展開したことがありましたが、材料不足の状態を「GPIF」などの「PKO軍団」が買い支えることになりますと、同様の動きのない相場が再来することも考えられ、取引する通貨ペアは他の通貨を考えておくほうが利益を確保しやすくなる可能性もでてきています。
ただユーロはドル円以上に不安定な存在となってきていますので、こちらももちろん注意が必要になります。大きな動きが6月に集中したことから、相場は疲れきった動きになりつつありますが、動かない通貨はあきらめて、しっかりと儲けられる通貨にフォーカスをしていきたい夏となってきています。
(この記事を書いた人:今市太郎)