早いもので2016年も半分があっという間に過ぎ去りました。しかし為替相場の世界では今年の前半はかなり激動の時期で、年初から米国の利上げの影響をもろに受けて、株も為替も低迷することとなりました。
1月末には日銀がまさかの「マイナス金利」を導入、それを受けて相場が上昇したのもたった3日弱ということで、ドル円はこのときの121円後半が今年最大の高値で、そこから6月24日の安値の99円まで22円、昨年のなんと2倍の値幅を示現する激しい動きとなってしまいました。
さて、国内の個人投資家がもっとも利用しているドル円はここからどういう動きになるのかについて今回は考えてみたいと思います。
ヘッジファンドが利用する月足の20ヶ月移動平均線では依然として下
月足の「20ヶ月移動平均線」はファンド勢がかなりよく見るチャートであるといわれていますが、以前にもご紹介したとおり、この移動平均線を下回っている限りは上昇の余地がないというのが、こうしたファンド勢の判断となります。
現状ではドル円の月足の20ヶ月移動平均線は「117.615円」辺りにあり、少なくとも月足でここを越えない限りは、トレンドが上昇には転換しないことがよくわかります。
つい最近まで117円は目と鼻の先のような気がしていましたが、すでに100円に接近した足元の相場状況ではかなり遠い存在であり、ここからはよほどのことがない限りは戻らないレベルに見えてしまいます。
同じく投機筋が好んで利用する週足の60週移動平均でも下方向
一方「投機筋」が好んで使うといわれる「週足の60週移動平均」を見ても、形は日足の20ヶ月とほんど位置関係は同じで、こちらも117円28銭レベルを超えない限りはトレンドが出たとは言いがたい状況です。
この両方のチャートを見ていますとよく判るのは「アベノミクス」とやらが始まった時期から2015年末にこの移動平均を下抜けるまで、一貫して相場は移動平均の上にあったことがわかり、かなり停滞した時期でもまだ上昇トレンドは継続していたことがわかります。
しかし2015年後半からは完全に流れが変わり、特に2016年は上昇ではなく下落のトレンドが明確に形成されていることがあらためて理解できる状況です。
ファンド勢が「アベノミクス」が既に終了していると判断していることもこうしたチャートを見ていますとかなりよくわかります。
日々の売買ではエンベロープの1時間足+2σ(0.6%)戻り売りが機能
日々の売買でいいますと、こちらも以前にご紹介しましたがエンベロープの1時間足13日移動平均ベースで、+2σを超えたところで売って見ますと、かなりの確率で売りによる利益を取ることが可能になります。
とにかくここからはドル円は戻り売りに徹することが利益機会にありつけそうで、特にこの夏、株式相場が大きく下落するタイミングに売り持ちをしていれば、かなり大きな利益にありつくことができそうな展開になってきています。
ユーロはこの先ポンドの動きを含めてかなり不確定要素が多い状況ですが、ドル円については米国の利上げ、大統領選挙などドル高にプラスにならないイベントが目白押しであり、かりに相場が上抜けてもしっかり高値を売っておくことができれば、かなりの利益に遭遇できるチャンスが生まれそうです。
ファンダメンタルズで市場テーマを理解しテクニカルで売買ポイントをつかむこと
毎回ご紹介していますとおり、「ファンダメンタルズ」は相場のその時々のテーマを掌握するという意味では非常に重要なものになりますが、方向感だけわかっても確実なエントリーポイントをテクニカルチャートで実証できなければ、まともな売買はできません。
そういう意味では常に「ファンダメンタルズ」を実証できるようにチャートを利用していくことが必要になります。どんなに方向感がわかっても、チャート上でエントリーできることが確認できなければ売買は成立できないのです。レベル感で売買しないことも為替相場で失敗しないための重要な要素といえます。
(この記事を書いた人:今市太郎)