UKの国民投票は既にご存知のとおり、まさかの離脱が決定してしまうというとてつもない事態がついに引き起こされてしまいました。
売り方、買い方双方に甚大な被害がでている模様
今回のUKの国民投票は、まず投票日の朝からのロンドン市場が異常に離脱回避に対する楽観論に包まれるところからスタートし、途中で相場がなんどか振り落とすような下落の動きを示現させましたが、投票終了時にはすっかり離脱回避ムードが漂うことになってしまいました。
この朝6時まででやめておけば、かなり助かった人も多かったと思いますが、その後開票が進むにつれて様子のおかしいことに多くの参加者が気づき始め日本時間の昼前にはもっとも大きな下落がほぼすべての通貨ペアに引き起こされることとなってしまいました。
市場についていくのが原則の個人投資家にとって、こうしたセンチメントは非常に安心できるものでしたが、結果的にこれが大きな仇になってしまいました。
投票の前半に離脱を想定した向きは異常に買い上げられてあえなく損切り、一方見事に当てたかに見えた残留見通し派は一転した売り攻撃でこちらも損切りを余儀なくされることとなりました。
双方ともそれなりの相場の上下の変動は覚悟していただけに、相応の証拠金を用意し、ストップロスも間近にはおかずに対応したトレーダーが多かったはずで、やられた金額もかなり大きくなっているようです。
しかし、こうしたけが人は個人投資家のみならずファンド勢にも及んでいるようで、プロでさえかなり痛んでしまったようです。事実上売りも買いも等しく痛み、相場に参加しなかったトレーダー以外はまったく無事ではない相場になってしまったことから、当面相場の雰囲気が戻るにはそれなりの時間がかかりそうな状況となってきています。
中央銀行の介入前にかなり戻した相場
一時的に100円を切ったドル円はその後なんということもなく103円台まで戻すこととなり、まるで関係当局の介入を恐れているかのような動きを示現しています。
ポンド円も142円台に戻しており、こうなると各国の当局が介入に踏み切るのかどうかがかなり微妙な状況になってきているといえそうです。
ここからは週末の最後まで相場を見ないことには迂闊なことはいえませんが、大きな下落は投票の開票時期にすべて織り込んだ気配が濃厚で、短期的にはここから大きく下落しない可能性もでてきています。
週明け中盤まで一旦様子見が賢明か
まずは欧州勢、NY勢がどのように対応するのか一巡するまで様子を見ることが必要になってきそうな相場状況です。
UKのEU離脱が正式に伝わってからはアルゴリズムが主体で上下しているのかと思われるような事務的な動きが継続中ですが、多くの市場参加者がそれなりに痛んでしまった相場だけに時間をかけて回復せざるを得ない状況に陥っていることはまず間違いないようで、冷静さは取り戻したものの、意思のある動きにはなっていないところが気になります。
ここ数日動きのない相場で手がでない状況が続きましたが、今度は上下の振れが大きく参加できない相場となってしまい、いずれにしても市場参加者はかなり少なくなっていることがうかがえます。
相場の様子がある程度元に戻るまでは当面様子見で対応することがよさそうな流れとなっていますが、欧州市場や米国市場がUKの離脱問題をどのように捉えて評価していくことになるのかを詳しくチェックしていきたいところです。
今後ユーロの動きはこうした評価にかなり影響を受けることになり、市場は次なるテーマを考えるにしてもそのあたりを間違えないように理解することが重要になるからで、UKサイドも政治の問題で大きな変動がでてくることが予想されます。とりあえずポンドについては一旦触るのは控えて様子を見たいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)
イギリス国民投票に関連する記事:
⇒ 英国EU離脱でも米国が利上げをせざるをえない事情について (2016/6/27)
⇒ UKのEU離脱騒ぎでなぜ日本株が世界でもっとも売られてしまうのか? (2016/6/26)
⇒ 為替介入はあるのか?イギリスEU離脱を受けての今後の動き! (2016/6/25)
⇒ 英国の国民投票・投開票で見えてきたドル円の3つのポイント (2016/6/25)
⇒ FX取引では勝者無きイギリス国民投票の結末 (2016/6/24)
⇒ イギリス国民投票の結果を受けてドル円相場の今後を考える (2016/6/24)
⇒ 聞きしにまさる破壊力のイギリス国民投票~ドル円、ポンド円撃沈相場 (2016/6/24)